MonoMax(モノマックス) Web

モノマックス 人気記事ランキング

最新号のご案内

5月号通常号

5月号通常号

2024年4月9日(火)発売
特別価格:1,280円(税込)

最新号を見る

モノマックス最新情報をSNSでチェック!

  • MonoMax Web YouTubeチャンネルはこちら!
  • MonoMax Web LINE NEWS
  • MonoMax 公式Twitter 毎月豪華プレゼントキャンペーン実施中!
  • MonoMax メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本Web

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【MR-Gが最高級なワケ(2)】可憐なマイスターたちが集う山形カシオのPPLとは!?

MR-Gの故郷、山形の地へ!

※前回の記事はこちら:
【MR-Gが最高級なワケ(1)】30万円もするG-SHOCKがあるって知ってた!?

MRG-G1000B-1A4JR

G-SHOCKの最上級シリーズ「MR-G」の「MRG-G1000B-1A4JR」。

G-SHOCKを作っている山形カシオ

その秘密を探るべく、生産現場である山形カシオにやってきました。

山形カシオは、1979年に設立されて以来、カシオ計算機のマザー工場として腕時計やデジタルカメラ、ケータイといった製品を送り出してきた一大工場。腕時計の商品開発やデザインは東京・羽村の開発室で行われます(デザインの一部は初台本社)が、G-SHOCKの「MR-Gシリーズ」と「MT-Gシリーズ」、オシアナス、プロトレックの「MANASLUシリーズ」の製造はこちらで行われています。

G-SHOCKを作っている山形カシオ

工場内には、腕時計の歴史をまとめた展示スペースが。中央には、各種イベントで姿を現す「G-SHOCKマン」が。

G-SHOCKを作っている山形カシオ

2017年9月に記録した1億本達成記念の祝い酒もありました。

G-SHOCKを作っている山形カシオの土田啓一取締役

工場内を案内してくれたのは、山形カシオの土田啓一取締役。

「金型設計・製作、部品製造、ムーブメント組立て、腕時計の組み立て・検査まで、すべて一貫生産することで信頼のある、高品質な腕時計をご提供しています。先進のデジタルテクノロジーと感性を融合させ、手間ひまをかけた丹念なモノ作りで、メイド・イン・ジャパンを超える『メイド・イン・ヤマガタ』を実現していきたいと考えています」

もちろん従業員のほとんどは、山形県民。モノ作りと県民性に関係はあるのかと訪ねてみると……。

「シャイな人が多いのだけど、粘り強い性格で、物事に黙々と取り組める人が多いですね」とのこと。

そしてMR-Gのことに話が及ぶと……

「それは、当工場が誇る"PPL"の存在が大きいですね!」

"PPL"とはいったい?

 

いざ、こだわりの"PPL"に潜入!

いよいよ製造現場へ。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場

「なんかドキドキするね……!」

普段着慣れないクリーンルーム用ユニフォームに興奮する編集部員ら取材班。いよいよ、潜入です。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

ちなみに、作業テーブルの形も”G”になっています

そしてこれが、山形カシオ自慢の"PPL"。Premium Production Lineです。

こだわりを追求すべく2012年に誕生した、カシオの腕時計の中でもハイエンドモデルだけのための特別な生産ライン。多機能アナログウォッチの組み立てを、限られた技能認定作業メダリストが匠の技を駆使して行っています。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

PPLを特別な存在たらしめているのが、このメダリストたち。山形カシオでは、時計修理技能士の二級程度の試験に独自の要素を加えた筆記試験と実務経験を元に、技能ランクを格付けています。

  • マイスター
  • プラチナメダリスト
  • ゴールドメダリスト
  • 技能認定者
  • 仮認定者

最高位のマイスターは最低でも7年以上の実務経験が必要で、現在でも片手で数えるほどしかいません。PPLのラインに立つには、ゴールドメダリスト以上の技能が必要で、これによってMR-Gは高い品質を実現できているワケです。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

拡大鏡を使って、文字盤のパーツも組み立てていきます。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

こちらは研磨済みのケース。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

ピンセットを使って、細かなパーツをモジュールに組み合わせていきます。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

針の取り付けは、拡大したモニターを確認しながら。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

一般ラインでは±0.5°が許容範囲のところ、PPLではより厳しい数値で管理されています。当然、ここまでくると肉眼で確認できるレベルではありません。

G-SHOCKを作っている山形カシオの製造工場 PPL

こちらでは、針の高さを確認中。「0.1mmのズレも見逃せない」とのこと。気になる箇所にはVの字に曲げたプラスチック板を差し込み、クイックイッと何度か先端部分を上に持ち上げてズレを直し、すべての針が平行になるようにします。

 

それはまさに、ミクロの世界。匠の技が要求されます。きめ細かな作業が、すべてのMR-Gモデルに施されているわけです。

 

メダリストに職人技の極意を聞いてみた!

メダリストにもお話を伺いました。

G-SHOCKを作っている山形カシオの松枝ゆかりさん

こちらは松枝ゆかりさん。モノ作りに携わりたいとの想いから山形カシオに入社し12年、時計製造の経験を積み、メダリストに。いまなお勉強の日々だといいます。

「時計製造は簡単ではない世界ですが、上司の指導もいただき、どうすればうまくいくかを常に考えてやってきました。やはり手先の器用さは求められますね。それに取り扱う材料の性質や硬さはひとつひとつ異なります。針などの部品も、モデルごとに違うんです。取り扱う機械も1台ごとにクセがありますから、そうしたものを感覚でとらえながら作業していかなければなりません。言葉では表しにくいのですが、指先で感覚を感じ取るしかないんです」

G-SHOCKを作っている山形カシオの松枝ゆかりさん

難しい作業の中でも、ときに会心の出来が生まれるのが、やりがいを感じる瞬間。常人にとってはどれも高精度な作業に見えますが、職人として「ドンピシャに来た」と確信を持てたときは本当にうれしくて、隣の人からも「これはスゴイね!」と声をかけられて場が沸き立つのだそう。

いい職人になるために必要なのは、「思いやりや繊細さ、器用さ、努力していく気持ちと折れない心」。日々の生活で特段気につけていることはないが、「突き指だけはしない」ようにしているとのこと。

「MR-Gはすごくいい製品だなと感じてます。細心の気を配って作っていますので、ぜひお手にとってみてください。個人的には、息子が来年で20歳になるので、その記念に買ってあげたいと思っているです。なんでも、息子が勤めている会社の会長さんも持っているそうで……息子もMR-Gを着けて、そんな会長さんのようにいつかはなってほしいですね(笑)」

 

G-SHOCKを作っている山形カシオの土井直美さん

お次は、主に検査全般を担当しているメダリストの土井直美さん。前職では照明器具の製造を手掛け、山形カシオでの勤務歴は12年。人やお店にいくと、目に入る腕時計が気になって仕方ないのだとか。

「職業病ですね。針の精度や位置がすごく気になってしまうんですよ」

土井さんのところでは、各種ボタンの動作チェックや針精度検査、気密検査が行われ、最後に外観のチェックが行われています。

G-SHOCKを作っている山形カシオの検査風景

こちらは空気加圧歪量測定法による乾式防水試験機。

G-SHOCKを作っている山形カシオの検査風景

実際に水に浸けてみる湿式防水試験機も。

不良品はほとんど出ないものの、万一のミスも見逃しません。

「私は、ただ一生懸命心を込めて作っているだけ。器用だと自分で感じたことはありません。ただ、経験が積み上げたものはあります。機械でNG判定ができるものと、やはり手で触らないとわからないものもあるんです。『ボタンのメイク』というのですが、ボタンをプッシュしたときに『ガリゴリ感』──どこかに引っかかりがあったり、重かったり軽かったりという違和感があるかどうかを判別するには、経験による部分も大きいと思います」

G-SHOCKを作っている山形カシオの土井直美さん

年々機能が複雑化しているため、それを覚えるのも大変だという土井さん。

「でも、腕時計は入学や就職などのお祝いにプレゼントする機会が多い製品。そういうところに携われるのはうれしいですね。心を込めて作ろうという気持ちが奮い立ちます」

MR-Gについて聞いてみると、「作り手としては値段の高い安いに関わらず、とにかくいいものを提供したい」と答えてくれました。

「お客様に感動を与えられるような製品を作りたいだけ。いつも『次の工程はお客様』なのだと、思いやりをもって作業しています。このMR-Gを含め、どれも自分の分身。装着してくれている男性を見かけると、自分がお嫁に行った気分になりますね(笑)」

 

MR-Gには、メダリストからのユーザーへの思いやりが隙間なく詰まっているようです。

 

こうして山形カシオでは、腕時計の製造から組み立てまでを一貫して……

「PPLで組み立てを見れたから、パーツ製造の現場にも行ってみよう!」

意気込む編集部員。まだまだ見所は尽きません。

 

※【MR-Gが最高級なワケ(3)】これってメタル?樹脂?カシオが誇る独自の華飾技術とは!(3月9日公開)に続きます

 

MRG-G1000B-1A4JR

G-SHOCK「MRG-G1000B-1A4JR」¥300,000(税抜)

●サイズH54.7×W49.8×D16.9cm●質量153g●耐衝撃構造●タフソーラー●20気圧防水機能●GPS電波受信機能●標準電波受信機能●針位置自動補正機能●ワールドタイム:世界27都市+UTCの時刻表示●ストップウォッチ●タイマー●時刻アラーム●バッテリー充電警告機能●パワーセービング機能●フルオートカレンダー●LEDライト

 

カシオ計算機 お客様相談室
03-5334-4869
http://g-shock.jp/

 

取材・文・撮影/横山博之 写真提供/カシオ計算機

この記事のタグ

モノマックスの記事をシェアする

関連記事

今月のモノマックス特別付録

【昨年完売!ナンガのコラボ付録が再び降臨!】12個のポケット搭載のショルダーバッグ付録がすごい!

【昨年完売!ナンガのコラボ付録が再び降臨!】12個のポケット搭載のショルダーバッグ付録がすごい!