【乗ってみた】実力派ワゴン、フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアントで味わう欧州の走り。
「ゴルフ」といえば、一般的には英国発祥の紳士のスポーツのことですが(笑)、筆者のようなクルマ好きであれば、きっと「フォルクスワーゲン!」が真っ先に頭に浮かぶことでしょう。ゴルフは、その商品力の高さから“世界のスタンダード”と称され、ゴルフをベンチマークとしてさまざまなブランドがライバル車を開発してきました。日本においても、30年近くもの間最も売れていた輸入車です。
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そんなゴルフの現行モデルは、2013年に発売され、2014年には過去最高の年間販売台数を叩き出しています。ちょうどその年、筆者は欧州へ出張しており、足として借りたレンタカーが、たまたまゴルフのヴァリアント(ワゴン)だったのですが、これがすごく印象のいいモデルでした。日本でレンタカーといえば、ややくたびれた感じの車両を渡されがちですが(苦笑)、このゴルフヴァリアントは全体的にシャキッとしていて、エンジンも静かで力強い。路面に張り付くようにしなやかに走るし、2000キロほど走行しても疲労がほとんど感じられず、「欧州のレンタカーってこんなにいいのか!?」と驚愕させられたものです。
そんな現行型ゴルフが今年、登場から4年ぶりに改良されたということで、筆者としても欧州で乗って以来、約3年ぶりに試乗させてもらいました。まず改良の一番のポイントといえば、アナログだったメーターがすべてデジタルディスプレイ化されたこと。クルマに乗り込んでエンジンをかけた瞬間に実感できますが、明らかに先進的でクールな雰囲気。表示の仕方もドライバーの好みに応じて複数のパターンから選ぶことができるし、メーター内に大きな地図を表示することも可能です。
また、インパネ中央のディスプレイも9.2インチへとサイズアップされました。これにより視認性が高くなっただけでなく、タッチパネル操作も可能になりました。さらに、ディスプレイに触れずとも手を振るなどの仕草だけで操作が可能な「ジェスチャーコントロール」機能もフォルクスワーゲンとしては初搭載。いちいちディスプレイを見ながら操作しなくて済むので、操作に慣れれば相当便利な機能ではないでしょうか。
先進装備といえば、渋滞時追従支援システムの「トラフィックアシスト」が搭載されました。ステアリング、アクセル、ブレーキをクルマが自動で操作し、走行車線をキープしながら、一定の速度で走行でき、前方に車両がいれば一定の距離を保ちながら追従します。さらに歩行者を検知するプリクラッシュブレーキシステムも組み合わされており、快適性、安全性が高められています。
サイズも価格も輸入車にしては手頃感があるゴルフシリーズですが、内外装、そして走りからは高級感が感じられます。走行関係のメカニズムに関しては、今回のマイナーチェンジで特に変更はありませんが、やはり数年前に欧州を走った時と同様、不満がまったくみられない乗り味です。多少の勾配やワインディングであっても滑らかに走るし、ハンドルの手応えもしっかりあるので、多少スポーティに走っても安心感が高いのが特徴です。今回の試乗車は「TSIハイライン」というグレードで、エンジンは1.4リッターターボが搭載されていますが、力強くレスポンスも優れていて、「さすがドイツ車!」という重厚感のある走りを味わうことができます。
全体的にみてもかなり充実感のあるアップデートで、決してスペシャルなクルマではないのに、内外装には高級感や先進感が漂い、運転してみても我慢や不便を強いられることが一切ないスーパーなクルマ。ヴァリアントはワゴンなので、それらに加えて広大な荷室スペースまで付いてきます。コスパの高い輸入ワゴンが欲しいという人には最適な選択肢と言えるでしょう。
TEXT/安藤修也(フォッケウルフ)
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