軽くてコンパクトだから、出かけたくなる。ザ・ノース・フェイスから、子育て世代のリアルな要望を実現した理想の抱っこ紐「ベイビーコンパクトキャリア」が誕生! パッと見ではわからない細部へのこだわりと、開発までの壮大なストーリーをご紹介します!
教えてもらったのは……
株式会社ゴールドウイン 事業本部 ザ・ノース・フェイス事業二部エキップメントグループ マネージャー 門司陽佑さん。
商品企画に携わり8年目、アパレルからギアまで幅広く担当。その幅広い知見により抱っこ紐の開発を任された。本人曰く、「構造オタク」。
なぜ、ザ・ノース・フェイスが「抱っこ紐」を開発?
ザ・ノース・フェイス「ベイビーコンパクトキャリア」¥24,200(税込)
抱っこもおんぶもできる2WAY仕様のコンパクトスリング。優れた荷重分散により負担なく背負うことができ、通気性もよいのでストレスが少ない。適応月齢は首と腰がすわってからの約1~3歳頃。適応体重は対面抱き13kg、おんぶ15kgまで。男女兼用。SGマーク取得。
「きっかけは、キッズ専門直営店のお客様や弊社の社員から『軽くて気軽に移動できる抱っこ紐が欲しい』『子どもと一緒にアウトドアで遊びたい』という声がたくさんあったことです」
アパレルチームから引き継ぎ、門司さんは登山用のザックなどの知見を生かせると考えていたものの、完成までにはトータルで3年以上もかかったとか。
「当初から日本独自の生活用製品の安全基準・SGマークの取得を目指していました。この基準が厳しく、またベビー用品はモノづくりの視点が違うこともあり、本当にゼロからの開発だったんです。パーツが少なく軽量でコンパクト、そして安全基準もしっかりと満たす作業はとても難しかったです」
“お出かけしたくなる”抱っこ紐の完成までには、試行錯誤の日々がありました。
抱っこ紐を“着用するエキップメント”として研究
開発当初は、登山用ザックのように腰への荷重を重視して構造研究をしていたという門司さん。しかし、それぞれ身長も体重も違う赤ちゃんを抱っこ・おんぶするには肩のフィット感こそが重要だということがわかりました。
「バックパックなどアウトドア・ギアの技術と、生活用製品安全基準の考え方がそもそも違ったんですよね。重い荷物を少ない負荷で運ぶという視点ではなく、安全の視点からモノづくりをすると、抱っこ紐で一番負担がかかるのは肩になるんです。さらに、身長も体重も違う赤ちゃんを支えるにはフィット感こそが大事。参考にしたのは、“着るランニングパック”と称されるTR10のフィット感でした」
TR10と見比べると、ショルダーストラップの形状が似ていることがわかります。また、赤ちゃんの体の中心線を意識し、荷重を真ん中に集めることに注力。“背負う”よりも“纏う”感覚で開発することで、負荷を軽減させました。そのほか布の面積を広くし、ストラップ全体の柔らかさを重視するなど荷重分散させる工夫が施されています。
男女兼用で使いやすい形状への探究はもちろん、最適なショルダーストラップの厚みも検証。より多くの日本人の肩にフィットしやすい設計にこだわった究極のフォルムを完成させました。
さらなる詳細や購入はこちらの公式ウェブサイトにて!
ザ・ノース・フェイス公式ウェブサイト
安全性と肩の負担の軽減や理想とする機能を両立させる
過酷なアウトドアの現場で培ってきた、ザ・ノース・フェイスの高度な設計技術。その知見が大いに生かされた製品ではあるものの、SGマークの取得という壁は想像以上に厚かったそう。
「軽量で強度の高い生地はたくさんあるんです。でも、ホルムアルデヒド含有量などSGの安全基準ではほとんど使えない。各種パーツ類も同様で選択肢がほぼない。そのなかで、我々の理想を完遂するのが難しかったです」
開発はSG基準に精通する日本の工場とパートナーシップを組み、さらにゴールドウインの研究開発施設「テックラボ」でパターン設計・検証試験を繰り返し実施。赤ちゃんの股関節が広がりすぎない設計、縫い目が当たらず肌が擦れない形状など、細部まで苦労が伴いました。
「理想のデザインがあっても、これでは安全性をクリアできないよ!ということが度々起こりました。社内の応援の声が大きくて、引くに引けないプレッシャーがありましたね(笑)」
バックルを絞ることで、赤ちゃんを内側に寄せていける仕様。体の中心に近づけることで負荷が軽減します。
ダーツを入れることでフィット感を向上させると同時に、赤ちゃんを体に密着させることで負荷を軽減。
収納しやすいよう大きめに設計されたスタッフサック。洗濯ネットとして利用できるのも嬉しいところ。
茨の道を突き進み、遂に軽くコンパクトで、荷重を一極集中させない、誰もが背負いやすい抱っこ紐が誕生しました。
子どものファーストアドベンチャーを応援したい
3年もの歳月をかけた理想の抱っこ紐。門司さんはどのように使って欲しいと考えているのでしょうか?
「年齢問わず、子どもたちには自然をたくさん体験してほしいと思っています。その手段のひとつとして今回開発しました。育児は決して女性だけのものではないので、特に男性にもっと使ってもらって、フェスで軽く踊ったり、キャンプや低山登山を楽しんだりしてほしいですね。感覚的には2時間くらいの連続使用を想定しています」
赤ちゃんの首が座った時期から歩き始めの頃になると、軽量でコンパクトな抱っこ紐が欲しくなるもの。しかし、市場に安全で最適なものが少ないのが現状です。この製品は、負荷が少なく軽く感じられるのが最大の魅力。また、子ども用の荷物が多くなる中、コンパクトになるので移動もスムーズ。それら使い勝手のよさがお出かけする気持ちを盛り上げてくれて、結果的にみんなの笑顔が増える効果を生み出してくれます。
ゴールドウイン カスタマーサービスセンター
0120-307-560
取材・文/富山英三郎 撮影/村本祥一(BYTHEWAY) スタイリング/小孫一希 ヘア&メイク/SHOTA モデル/ヒカルド
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