1970年代後半に一大ブームを巻き起こした寝台特急ブルートレイン。最盛期は首都圏や関西を起点として全国各地に向けてたくさんの列車を運転していた。
しかし1980年代からブルートレインの衰退が始まり、1988年の青函トンネルの開通で、豪華列車「北斗星」という新しい道筋を見つけたものの、多くの列車は衰退を止められず廃止された。最後まで残った「北斗星」も2015年に消えたのだった。
最後の寝台特急ブルートレイン「北斗星」が次の時代に残した功績とは?
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「北斗星」(主な運転区間:上野〜札幌)
1988年から上野〜札幌間で運行を開始した。最盛期には3往復を運転。臨時「北斗星」や「エルム」「カートレイン」も運行された。2009年からは上野〜青森間の牽引機が新型電気機関車のEF510形500番代となり注目された。しかし2008年に1往復に削減され、2015年8月で廃止されて、27年の歴史の幕を閉じた。
次の時代に影響を与えた寝台列車“ 北斗星”の功績とは?
1988年3月13日に本州と北海道を結ぶ青函トンネルが開通。同日から上野〜札幌間に寝台特急「北斗星」3往復(1往復は季節列車で後に定期化)の運転を開始した。
「北斗星」は北へ向かうフラッグシップという役割を担っていて、当時最上級の設備としてA寝台1人用個室「ロイヤル」を筆頭として、A寝台2人用個室「ツインDX」のほか、B寝台1人用個室「ソロ」、B寝台2人用個室「デュエット」などの個室寝台を多く設定した。また、コース料理を楽しめる食堂車「グランシャリオ」を連結。共用スペースのロビーも設定していた。特に「ロイヤル」はスペースを広く取って大型のソファベッドと机を配置し、シャワー・トイレも備えており、後に登場する豪華寝台列車に大きな影響を与えた。
A寝台1人用個室「ロイヤル」は列車に乗ることを楽しむというスタイルを確立。
食堂車「グランシャリオ」はコース料理のディナーのほか、深夜のパブタイム、モーニングを楽しめた。
「北斗星」はJR東日本とJR北海道がそれぞれ編成を受け持っていたが、JR北海道の受け持ち編成は個室の数を増やし寝台特急の新しい方向性を指し示した。1999年に北へ向かう豪華寝台列車「カシオペア」が登場し、運転本数は2往復に減った。2008年には1往復となったが、寝台の多くが個室としてその面目は保っていた。
しかし北海道新幹線の開業を翌年に控えた2015年8月で「北斗星」は廃止。これは日本中を走っていたブルートレインの57年間の歴史の終焉を意味した。「北斗星」が成した寝台列車の新たな形は、いま人気を博すクルーズトレインの原型になったともいえるのではないか。
監修・文/鉄道ジャーナリスト 松沼 猛 撮影/伊藤岳志
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