④金型の設計
パーツの設計が進むと、金型のレイアウト設計にシフト。②の設計からひとつずつ上がってくるパーツの立体データを平面データに。パーツの平面データを参考にしながら、樹脂の流れを予測、ユーザーの組み立ての順番を考慮し、パズルの要領で金型の枠に配置していく。
「物」として金型が作りやすい形状・成形しやすい形状と、かっこよさの両立が課題でした。
最もかっこよさが求められる顔のマスクパーツ(特に目元)がかなり複雑で、設計担当者と何度も相談、パーツ形状も少し変更しながら、その両立と、かつ壊れにくいPL(金型の合わせ目、パーティングライン)にすることができました。
パーツ分割もチャレンジングで、PLが複雑になることが多く、1つのランナーに対しパーツ数も多いため、金型強度が担保されるようパーツの向きとゲート位置に気を使い設計しました。
⑤金型の製作
樹脂を設計図通りのガンプラのパーツにするための実際の金型を作る工程。金型はガンプラのパーツの形に出っ張っている凸型とへこんでいる凹型があり、この凸型と凹型で挟んだ時にできる隙間に溶けた合成樹脂を流し込むことで作られる。ここでは、これまでに作られた金型のメンテナンスも行っている。
データができてから金型加工が始まり、およそ5~6カ月程度で完成します。ガンプラは接着剤を使用しなくても組み立てられるスナップフィットを採用。その加工は金型職人が手で調整をしています。
今回は11個あるビットステイヴが体だけでなく武器にも脱着するというギミックがあり、パーツ同士を組み立てる際の勘かん合ごう調整がポイントに。脱着箇所をすべて、強すぎず、弱すぎず調整するのは本当に大変でした。また顔の形状が複雑なので、かっこよく見えるようにしっかりと形状出しを行うことにも苦労しました。
※金型は使用中のため、1/144 RX-78 GUNDAMのものを拝見
⑥パッケージ・取扱説明書デザイン
そのガンプラのイメージを担うパッケージ、「組み立て」というプラモデル特有の体験価値を大きく左右する取扱説明書をデザイン。説明書は、手順が書いてあるだけではなく、わかりやすさを重視。プラモデルを組み立てる際の楽しさや、他の商品も作ってみたいと思ってもらえるかを決定づける重要な役割も果たしている。
パッケージアートは、昨今のトレンドや、学園もの、女性主人公であるイメージを意識し、透明感や空気感を演出したテイストに。それをひき立てる白と水色を基調とした、清潔感のある爽やかな印象でまとめました。
また、無塗装状態の商品やランナーの写真も掲載することで、塗装をしなくても作品の設定に近い状態を再現できることを伝えています。初めての方にも手に取ってもらいたいという思いから、従来の枠にとらわれないデザインで制作しました。
説明書は、今作のシリーズがガンプラ初挑戦という方が多くいると予想されたため、これまでの説明書のいいとこ取りをし、「基本説明はエントリーグレード同様に丁寧に説明する」「組み立て部位ごとに使うランナーをブロックの最初に説明する」「パーツリストをカラーで掲載する」など、“初めてでもわかりやすい”を特に意識しました。SNSで「ガンプラ初挑戦だけど説明書がわかりやすくて簡単だった!」というコメントも多くいただき、うれしく思っています。
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