そのうえで今回初めて取り組んだのが、『リバースエンジニアリング』による再現だったといいます。
「現在、ベゼルのような立体物を成形する際は3DCADで3次元形状のデータを利用するのが一般的ですが、初代フロッグマンが生まれた当時にそのような仕組みはなく、当時の金型も残っていなくて、2D図面だけがあった状況でした。そこで状態のいい現物を用意して3Dスキャンを行い、生成された3Dデータと残されていた2Dデータを比較して調整していったのです」(難波さん)
情報が足りない2D図面だけでは、職人の解釈によってフォルムが変わってしまう。3Dスキャンも、対象とした現物が経年劣化で正しい寸法ではないかもしれない。そのため、両者を比較検証する必要があったのだと言います。
左が再現したベゼル、右が約30年前に製造された現物
「この方法を取ることによって、傾斜や角のアール、シャープなラインの精巧な再現が可能になりました」(難波さん)
「かなり特殊だったのが文字でした。特に『S』と『G』のフォントはどうやっても探し出せなくて、一から作り出しました」(難波さん)
この記事のタグ
この記事を書いた人
ライター横山博之
カバン、時計、ファッションなど男性のライフスタイルを彩るモノを領域とするライター。デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビュー経験も豊富。時代の先端を行く技術やカルチャーにも目を向ける。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
モノマックスの記事をシェアする