靴下はペアにしてくれる? 全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」のホントのところを聞いてきた!
ランドロイド発明者に会いに行ってきた!
全自動衣類折りたたみ機・ランドロイドが華々しいデビューを飾ってからおよそ2年。ついに、今年5月末までの間に、製品モデルが発表されることが決定しました。
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・衣類をきめ細かに折りたたむロボティクス技術
・衣類の形状も把握する高度な画像解析技術
・使うほどに最適解を学んでいく機械学習+ディープラーニング
こうした先進技術が凝縮されています。
大げさに言えば、衣類を折りたたむ手間は、人類が毛皮をまとっていた原始時代から避けられなかったもの(たぶん)。それから解放されるわけですから、けっこうすごいことです。
ということで、製品化の最終段階に入っているランドロイドを学びに、ランドロイドを発明した阪根信一社長に話を聞きに行きました。
※ここで紹介するランドロイドは開発中の商品であり、本体・専用アプリなどを含めたすべてのデザイン、仕様や機能、サイズなどについては変更される場合があります。
衣類折りたたみを実演! あまりのキレイさに驚いた!
「はじめて本物を目の当たりにしました。そこそこの大きさがありますね」
「ロボットアームで衣類を折りたたむことを考えると、どうしても一定のスペースが必要になります。それでも改良を重ねて省スペース化を進め、一般的なキャビネットと同じくらいの奥行きになりました」
「しかし全自動で衣類を折りたたんでくれるなんて、未来を感じます」
「やっているとこ、実際に見てみます?」
実演は一世代前のプロトタイプで行われました。
最下部のトレイにバサッとTシャツを投入する阪根社長。
操作はスマホで。スタートさせると、開いていた扉が閉まっていきます。
稼働中を示す青いランプ。中からロボットアームが動く「チュイーン」という音が聞こえてきます。約7分後、これが黄色に変化。
おもむろに扉が開くと……そこにはキチンと折りたたまれたTシャツが!
ではどんな感じでたたまれたのか、詳しく見ていきましょう。
これが完成形。アパレルショップで見るのと同じたたまれ方です。
裏返すとこう。
身頃の左側がパタンと折られていました。
その前は身頃の右側。
身頃を上下半分に折るのが最初だったよう。それにしてもキレイに二分して折られていました。折り紙感覚。
"折り目正しい"とはまさにこのこと。測ったように(実際そうなのですが)折りたたまれていました。
主夫・主婦目線のギモンを解消! ランドロイド一問一答!
衣類を自動で折りたたんでくれるなんて、まさに夢のマシンですが、ランドロイドは自宅にお招きしても本当にいい相手なのか? ここからは、主夫・主婦目線で阪根社長に一問一答してみました。
「1回にどれくらい投入していいですか?」
「約30アイテムです」
「折りたたむ時間は?」
「現在は1枚たたむのに5~12分かかり、目一杯投入すると5・6時間必要です。そこそこかかるのですが、モニター調査したところ、予想以上に悪い反響はありませんでした。時間はかかっても、近くで見ている必要はありませんから。ちなみに4人家族の場合、洗濯した衣類を折りたたむのにかかる時間は生涯で9000時間、375日分ほどかかるといわれています。ランドロイドがあれば、1年以上もの時間が自由になるんです!」
「衣類をたたんでくれるだけでもありがたいですけど、家族ごとに仕分けしたりとかは?」
「ありますよ! 仕分けモードは2つ、「アイテム別」と「家族別」があるんです。「アイテム別」の場合、TシャツはTシャツ、パンツはパンツという感じ。「家族別」は最初に登録作業を済ませれば、人ごとに衣類を分けてくれるようになります。中にカメラが入っていて、形状や色などで識別できます」
「たたみ方にバリエーションってあるんですか? Tシャツがキレイにたたまれましたけど、もっとコンパクトにしたい!とかできますかね」
「ソフトウェアのアップデートで対応する可能性もありますが、今はオススメのたたみ方1通りですね。収納術に長けたコンシェルジュに相談した上で、アイテムごとに最適なたたみ方を設定しています」
「下着もたたまれるんですか? 女性モノとか、かなり小さいですけど……」
「女性モノの下着などのアイテムは、たたまれずに投入ボックスに残ります。もともとたたむタイプじゃないですから。逆にいえば、たためるもの・たためないものをランドロイドで判断できますから、人の手で選別して投入する必要はありません」
「衣類を投入するときに気遣わないといけないことはありますか?」
「複数のロボットアームを使って衣類をたたみますが、衣類をひっくり返すことまではできません。また前開きシャツの場合は、ボタンを留めていただく必要があります。気を遣っていただく必要があるのはそれくらいで、あとはそのまま投入していただければOKです」
「靴下はペアにしてくれます?」
「実現するためのプログラムを鋭意開発中です。靴下は、色柄は同じだけど素材が違う、というように違いが微妙なので、ペアリングがなかなか難しく……。1年以内の実現を目指しています!」
「中でロボットアームが衣類を吊るしたりしていますが、衣類が傷つくことはない?」
「ありません! センサーで衣類にかかるテンションを計測していますので、伸ばして傷めるようなことはありません」
「ここまでたたんで仕分けてくれるのなら、ランドロイド自体キャビネットになればいいのですが……」
「目指しています! Phase3では洗濯乾燥機と合体して洗濯から折りたたみまでを全自動化させ、さらにPhase4では、壁面に埋め込んだダクトを経由して各部屋のキャビネットまで送り届けるシステムを考えています。そのときには、ランドロイドは最初から住宅設備の一部として埋め込まれているでしょう。そのためもあって、洗濯機製造の技術を持つパナソニックさん、大手ハウスメーカーの大和ハウス工業さんと合弁会社を立ち上げているんです」
「衣類にはたたまず、吊るして収納するものもありますが」
「そちらに限っては、ぜひご自身で(笑)。スカートやドレス、エスニックな衣装などは吊るされて収納する人が多いと思いますが、丈の長いアイテムはランドロイドでもたたむことができません」
「買ったらどこに置けますかね?」
「聞いたところ、元子供部屋など空いた部屋に置くことを検討されている人が多いようです」
「カーボンを使ったデザインはとてもシックで未来的ですが、他の色とかありますか?」
「こちらはあくまでもプロトタイプ。未来感があり、どちらかというと男性的なデザインになっていますが、製品版は大きく変わります。ウッドとガラスを用いてインテリア性を高め、高級感を出します。ぜひ期待してください!」
「購入前に、製品を間近に見る機会はありますか?」
「3月18日(土)から東京・表参道に『ランドロイドカフェ』がオープンします。一服しながらランドロイドの機能を味わえる空間になっていますので、ぜひお越しください!」
「ランドロイドカフェ」
住所/東京渋谷区神宮前4-6-9 南原宿ビル1F
営業時間/11:00-16:30
http://laundroid.kentaromi.tokyo/cafe/
待望の製品版は5月末(予定)に発表され、予約販売がスタート。今年度中の納品を目指しています。価格は未定ですが、開発費用や先進技術が使われていることを考えると高級品なお値段になりそうで、最初は富裕層を中心に広まりそうです。
一定のスペースが必要なことも導入のネックですが、忘れてはならないのは、ランドロイドはこれまでにない家電だということ。今の住宅物件には、冷蔵庫や洗濯機の設置スペースがありますが、それらが発明される前には当然設けられていませんでした。ランドロイドの利便性が一般に広まれば、住空間のほうが変わっていく可能性を秘めています。
久々に見た、日本発の夢のあるマシン。手の届く存在になる日が待ち遠しいです。
セブンドリーマーズ・ランドロイド
https://laundroid.sevendreamers.com/
取材・文/横山博之
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