“キダルト”を意識した仕掛けづくりを徹底!
──先ほどMORIUMの展示を拝見して、歴代の「おもちゃのカンヅメ」のパッケージに、傾向があるのかなという印象を受けました。例えばある時期は、キョロちゃん自体をモチーフにしたケース、またある時期は、宝箱みたいなデザインが続いていたり……。時代ごとの傾向があれば、教えていただきたいです。
中野さん 明確な傾向はないのですが、時流やトレンドに合わせて開発されています。
初代に関していうと、缶切りを使ってカンヅメを開ける仕様で、中にはたくさんのおもちゃが詰まっている!というものでした。それ以降は、“より体験価値をしっかり感じられるようなもの”を作ろうということで、様々な仕掛けが用意されるようになりました。キョロちゃんの魅力だけでなく、開けること自体を楽しめる体験価値も重視しているというわけです。
──直近の『キョロクレーン缶』や『キョロガチャ缶』も、今の流行をバッチリ押さえていますよね。
中野さん そうですね。今、大人で子供心を持った“キダルト”の存在が台頭してきている中で、子供だけじゃなくて大人も楽しめるものを作ろうという動きは、ますます大きくなってきています。キダルトが楽しんでる体験ってなんだろう?と考えたとき、身近にあるものがクレーンゲームだったので、今回の『キョロクレーン缶』も生まれました。時流とお客様に合わせて、「おもちゃのカンヅメ」も一緒に進化していると感じます。
──ちなみに、時流に合わせたトレンドをキャッチするために、日頃から行っていることはありますか?
中野さん 普段からおもちゃ市場のデータを確認したり、実際におもちゃ屋さんに足を運んで調査したりしています。あとは、お客様がどういったことに着目しているのか?ということを知るために、日々のニュースもしっかり拝見してますね。
──今までで一番反響があったなと感じるカンヅメはどれですか?
中野さん 個人的な意見になりますが、2004年に登場した『キョロ缶』でしょうか。その年に初めて、キョロちゃんの形を模したおもちゃのカンヅメが登場したんです。キョロちゃん型になっていることで、皆さんにより愛着を持っていただけるようになりました。当時非常に話題になったと聞いてます。
それともう1つ、2015年の『開かずのカンヅメ』も印象的です。開けるまでの過程も楽しめるので、体験価値に重点を置いていることが伝わるかと思います。
──「おもちゃのカンヅメ」がここまで愛される理由、ヒットの要因は、どのように考えていますか?
中野さん チョコボールのメインターゲットは、30代~40代の方々とそのお子様と定められています。しかしながら、今58年目のロングセラーお菓子ということで、幅広い年齢層の皆様に楽しんでいただきたいという点をとても重要視しているんです。子供だけでなく、大人にも受け入れられる「おもちゃのカンヅメ」であることがヒットのポイントだと思います。
──「おもちゃのカンヅメ」の中身も秘密に溢れているんですよね。社長さえも知らないということでかなり驚いたんですけど、 どのようなこと意識して、中身を考えているのか気になります。
中野さん 具体的なところは秘密にさせていただきたいのですが、やっぱり子供・大人問わず“欲しい!”と思うような体験って何だろう?という点を意識しています。
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この記事を書いた人
ライター黒川 すい
アパレル業界に勤めた後、フリーライターに。ファッションはもちろん、グルメ、エンタメ、お出かけ情報など幅広いジャンルの執筆経験あり。ウェブを中心に活動中。趣味はアートトイの収集と喫茶店巡り。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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