「そうだ 京都、行こう。」 青もみじ、すだれ越しの光、ひんやり縁側…“しつらえの美”で心を整える、初夏の京都旅スポットを巡ってみた
執筆者: ライター・エディター/鈴木恵理子
#03 “しつらえ”が生きている、京町家の夏。『杉本家住宅』
京都の町なかにひっそりたたずむ杉本家住宅。江戸時代から呉服商「奈良屋」として栄えた京町家ならではの趣が、今も大切に守られています。現存する町家の中でも最大級の規模を誇り、その美しさと歴史的価値から、この夏の「そうだ 京都、行こう。」新CMの舞台にも選ばれました。建物は2010年に国の重要文化財に、庭園も国の名勝に指定され、伝統的な京町家の美意識と工夫が息づく貴重な空間です。
また、京都の暑い夏を心地よく過ごすための工夫も、家のあちこちに散りばめられています。薄暗い室内から見える庭の緑、その涼しげな空気感がたまりません!夏の建具が、日差しを遮りながらも風を通す設計で、肌で感じる涼しさが心地よかったです。
杉本家では、季節ごとのしつらえがしっかりと受け継がれています。冬は障子や襖、夏は葦戸や葦簾に交換され、花や掛け軸も季節に合わせて変わる。こうした一つひとつに、「自然を大切にし、人を思いやる心」が込められているのが、見ているだけでも伝わってきます。
畳に腰を下ろすと、座った目線の高さに葦の編み目越しの緑が透けて見え、思わずため息が出るような美しさ。京町家ならではの繊細な感性が詰まっています。
案内してくださった当主・杉本節子さんは、昔ながらの京町家の知恵や暮らしを、これからの時代へつなぐ活動を続けています。建物の維持や修繕には、想像以上の手間と費用がかかるのだそう。大切な文化を守り続けることの重みを感じました。
クラウドファンディングでの支援も呼びかけているそうなので、訪れて終わりではなく、「応援してみたいな」と感じたら、気軽に参加してみるのもおすすめ。未来とつながる仕組みがあるのも、この場所の魅力です。
一般公開を定期的に開催している杉本家住宅ですが、「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン期間中には、松北園茶店のほうじ茶・和紅茶のティーバッグ各1個つきの見学プランもあり。夏のしつらえを体感できる貴重な機会に、ぜひ足を運んでみてください。
※写真は特別な許可を得て撮影したものを含みます。二次利用や転載はお控えください。
重要文化財 杉本家住宅[すぎもとけじゅうたく]
住所:京都市下京区綾小路通新町西入ル矢田町116
TEL:075-344-5724
https://www.sugimotoke.or.jp/
今回の旅では、“しつらえ”という日本ならではの文化にふれて、季節との向き合い方を見直すきっかけになりました。こういう文化がしっかり残ってるのって、やっぱり京都ならではだなと改めて感じました。訪れた場所はどこも静かで落ち着いていて、しつらえをじっくり感じられたのがすごくよかったです。
洋服の衣替えはちゃんとするのに、空間はゴザを敷くくらいしかしてなかったな……と反省(笑)。でも建具や掛け軸、花を替えるだけで、気持ちまで整う感覚にびっくり。これからは空間の季節感も、少し意識していきたいと思いました。
もちろん、現代の暮らしでは昔の町家のようにはいかないけれど、カーテンを軽やかなものに替えたり、季節の花や枝ものを飾ったり、風鈴を出してみたり。そんなちょっとした工夫だけでも、暮らしが変わってくる気がします。
“しつらえ”って難しそうに見えて、意外と気軽に楽しめるもの。気になった方は、「そうだ 京都、行こう。」の特設サイトも、ぜひのぞいてみてください。
詳細は「そうだ京都、行こう。」特設サイトをCHECK!
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文/鈴木恵理子
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この記事を書いた人
ライター・エディター鈴木恵理子
11年間の編集プロダクション勤務を経て、2011年よりフリーランスに。雑誌やムック、ウェブなどで、ヘアやビューティページを中心に活動中。暮らしに役立つ実用系やメンズのビューティ記事の経験も豊富。好物は古物や古道具。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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