
日高屋といえば気軽&リーズナブルに中華とちょい飲みが楽しめるお店です。誕生から23年、看板メニューである「中華そば」はずっと390円という驚きの価格が維持され続けていました。しかし2024年12月、ついに30円の値上げを発表。値上げの発表へは一般的にネガティブな声が聞こえてくるものですが、日高屋社長のもとには「値上げをしてくださりありがとうございます」と感謝の声が多く届いたといいます。一体なぜ?株式会社ハイデイ日高代表取締役社長・執行役員社長の青野敬成氏に聞きました。
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「値上げありがとうございます」という声がある一方、客数は1日1万人減

じわじわと原材料費も高騰する中、他の商品は10~20円程度の値上げはしていたものの、看板商品である「中華そば」だけは最後まで値上げするまいと耐えてきました。しかし、遂に30円の値上げに踏み切ります。
「30円という値上げ額も社内で議論があって、10円にしようとか、あるいは50円でもいいんじゃないかと様々な意見がありました。結果的に『30円だったらお客様も許してくれるんじゃないか』ということ、そして30円の値上げなら税抜300円台のままでいられるので、そのラインを守りたかったというのもあります」(青野氏)
30円とはいえ、私たちの印象には数十円が大きなインパクトとして映ることがあります。コンビニでは「おにぎり30円引きセール」をすれば売上が大きく伸びますし、日高屋でも7月から実施した「生ビールvsハイボール祭」と題した20円引きセールの期間中は生ビールとハイボールの売れ行きがアップしたのだそう。しかし逆もしかりで390円だったものが420円になると、30円とはいえインパクトは大きく感じる人が多いものです。
2024年12月、新聞やニュースで「日高屋の中華そばを含む7割の商品が値上げ」と報道されるやいなや、日高屋のお客様相談室には「値上げありがとうございます」「値上げについてはどうぞお気になさらず」「値上げは少しも気にならない」といった内容のメールが届いたといいます。企業が値上げを発表して感謝する声が聞こえることは稀です。

頂いたメールには『物価が高騰している中、頑張ってくださり感謝の言葉しか出てきません。変わらぬ味を提供してくれることに感謝です』『いつも良いものを安く提供してくださって本当にありがとうございます』『いつ行っても接客が素晴らしく、料理のお値段以上』といったお声を頂いています。とはいえ、値上げにともない客離れが起きたことは事実です。値上げを発表した直後の2025年1月は1日あたり約1万人の客数減、1か月で約30万人客数が減ってしまいました」(青野氏)

「そこで、日高屋では、値上げ後最初の1か月間限定でPayPayのキャンペーンを実施しました。PayPayでお支払いすると、30円ポイント還元されるというものです。30円値上げして30円ポイント還元しては意味がないように見えますが、値上げというのは最初の月が1番大事。最初のインパクトで『やっぱ高い』と思われるのか、『しょうがないな』と思って頂くのかによって、後の印象が変わってくるんです」(青野氏)
こうした一見損に見えることも、長い目で見ると客離れを食い止めることにつながります。実際には1日あたり約1万人の客数減は起きてしまっていますが、青野氏は「PayPayキャンペーンをしなかったらもっと減ってしまっていたと思う」と話します。
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この記事を書いた人
ライター松本果歩
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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