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特集体験レポート

【香港の時計市場】アジアの時計事情がまるわかり!「香港ウォッチ&クロック・フェア」「サロン・ド・タイム」現地取材レポート!

執筆者:

価値の多様化や二極化が進む香港・中国の時計事情!

会期中は現地の様々なキーマンとお話することもできました。

香港表廠商會の副会長、陳志韜(ヴィンセント・チャン)さんメディア向けミーティングでは、イベント主催団体のひとつである香港表廠商會の副会長、陳志韜(ヴィンセント・チャン)さんに接見。陳さんは香港で約40年にわたり時計製造を担う金鷹製造有限公司 (ゴールデンホーク製造)の代表でもあり、香港の時計事情を間近に見続けてきた方です。150~500米ドルの価格帯である『スイス マウンテニア』や『マウンテニア』といった自社ブランドも展開してつつ、売上の約8割はOEMで、特にアメリカブランドとの取引が多いとのこと。

「当社は香港の時計メーカーにおいて中堅クラスの企業ですが、月産120万個の製造能力があり、一番多いときで28コンテナ分の積荷を一度に出荷したこともあります。現在もたくさんのオーダーを頂戴できているのは、長年の経験や高い技術力に加え、ニーズにきめ細かくお答えする姿勢を評価していただいているものと考えています」

時計団体の副会長の立場から見た香港・中国における時計事情を聞いてみたところ、コロナ禍後に大きな変化があったといいます。

「時計に限りませんが、購買客がリアル店舗にきてくれないケースが増え、EC利用が拡大しています。しかし、特に高価格帯の時計はECでの販売は容易ではなく、どのように訴求していくか大きな課題になっていますね」

ちなみにグランドセイコーやG-SHOCKといった日本ブランドはこちらでも人気とのこと。チャンスがあれば、香港・中国ブランドの日本進出も積極的に働きかけていきたいとの希望も伺いました。

プリンス ジュエリー&ウォッチのカスタマー・リレーション・スペシャリストである鄺志鋒(スティーブン・クウォン)さん(写真右)プリンス ジュエリー&ウォッチのカスタマー・リレーション・スペシャリストである鄺志鋒(スティーブン・クウォン)さんにも、香港・中国における時計事情を伺いました(写真右が鄺さん。写真左は同社CEOの鄧鉅明(ジミー・タン)さん)。同社は香港で40年以上にわたりスイスの高級時計やジュエリーを取り扱う時計宝飾店で、「サロン・ド・タイム」の「ワールド・ブランド・ピアッツァ」で高級時計ブランドを展示していました。

「当店ではロレックスやオメガ、ゼニスといったスイスブランドが人気で、ここ最近ではボーム&メルシエ、モンブランへの注目度も高いですね。個人的には、ブライトリングへの注目度も今後さらに高まっていくと考えています。香港人は新しもの好きが多く、アイスブルーやティファニーブルー、モスグリーンといった最近の新色も話題です」

香港ドルは米ドルとのペッグ制が保たれ、また自由貿易港であるため時計には原則として関税がかからないことから中国本土など外からの訪問客も多いのが特徴です。ただ、コロナ禍後の不況によって同地の時計売上高は減少傾向にあります。

「それでも最近は中価格帯製品の伸びがよく、だいぶ持ち直してきました。高所得者層が望む時計の傾向も変わりましたね。以前は金ケースに人気が集中していたところ、今ではSSケースも広く受け入れられるようになりました。価格も手頃ですし、普段使いしやすいのも大きな理由です。ブロンズケースで経年変化を味わったり、自社一貫製造のマニュファクチュールかどうかに価値を見出したりと、時計の楽しみ方も多様化しているように感じます」

デイトンインダストリアルの阮克文(ミシェール・ユエン)さん「サロン・ド・タイム」内「ウェアラブルテック」ゾーンにて、最も大きなブースを構えていたデイトンインダストリアルの阮克文(ミシェール・ユエン)さんは、同社が推進する予防医療技術に時計業界の明るい兆しがあると猛プッシュ。伝統的な中国医学と西洋医学を融合させた「LINK2CARE」システム対応スマートウォッチの新作を披露していました。

「国別の市場としては従来の先進国のほかインドでの売上も伸びており、時計の需要はまだまだ高まっていくと思っています」

時計産業自体については、コロナ禍直後の経済不況からはだいぶ回復してきたと感じているとのこと。

「ここ香港でも、スイスの高級時計に対する購入意欲は再び高まっているようです。しかし、人気ブランドはますます高価格化しており、高級モデルを買う人とそうでない人との二極化が進んでいますね」

また、多くの関係者から聞こえてきたのは、「トランプ関税」への懸念。コロナ禍後、時計産業を力強く牽引してきたのはアメリカで、そこへの関税率が大幅に変わるかもしれないという不安定さを心配する声がそこかしこから聞こえてきました。

この他にも、「今は中東への輸出が最も調子がいい」(低中価格の完成品メーカー関係者)、「ネイルアートのように、若者にはストラップを付け替えるニーズが高まっている」(ストラップメーカー関係者)、「OEM受注が減り続けていてかなり苦しい……」(OEMメーカー関係者)といった声も聞かれました。

「香港ウォッチ&クロック・フェア」&「サロン・ド・タイム」は、世界、とりわけアジアを中心にした時計事情を如実に物語るイベントであり、来年以降もここからどんなトレンドが生まれるのか、世界中の関係者が注目しています!

主催:香港貿易発展局(HKTDC)
公式WEBサイトはこちら

取材・文・撮影/横山博之

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  • 「サロン・ド・タイム」
  • 「香港ウォッチ&クロック・フェア」
  • 開会式の様子
  • 世界各地からバイヤーや一般客の他、メディアも集結
  • ユリス・ナルダン
  • ユリス・ナルダン
  • コルム
  • コルム
  • ボヴェ
  • フランス国土の形にカットアウトしたオープンワークの新作
  • オープンハートモデル「AUSTRALE」
  • 「テセイ ブロンズ スイス オートマティック」
  • 「ハル クロノグラフ」
  • ウルトラマリンカラーを用いたモデル
  • 淡いライトブルーに輝くモデルも
  • アイスウォッチも参加
  • 「アイスファインド」
  • 香港表廠商會の副会長、陳志韜(ヴィンセント・チャン)さん
  • プリンス ジュエリー&ウォッチのカスタマー・リレーション・スペシャリストである鄺志鋒(スティーブン・クウォン)さん(写真右)
  • デイトンインダストリアルの阮克文(ミシェール・ユエン)さん

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この記事を書いた人

横山博之

ライター横山博之

カバン、時計、ファッションなど男性のライフスタイルを彩るモノを領域とするライター。デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビュー経験も豊富。時代の先端を行く技術やカルチャーにも目を向ける。

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Website:https://monomax.jp/

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