アイスウォッチは香港ウオッチフェアでも注目を浴びていた!
9月初旬、いってきました香港!
「タグ・ホイヤーの最新クロノグラフ」F1参戦20周年を祝うリミテッドエディションに大注目!
いろいろな話題を振りまいているホットスポットですが、このときは街中も陽気も穏やかなもので、国際都市を堪能できました。
お目当ては、「HKTDC香港ウォッチ&クロックフェア」への取材です!
世界最大級のHKTDC香港ウォッチ&クロックフェアへ!
時計の展示会といえばスイスの「バーゼルワールド」や「ジュネーブサロン」が有名ですが、ここ数年でメキメキ頭角を現しているのが、香港で行われるコチラのフェアです。もともとはBtoBの関係者向け展示会だったものの、アジア市場の増大とともに規模を増大。今では20カ国以上約800社以上、21,000人以上のバイヤーが参加する、世界最大級の時計見本市のひとつに躍り出ています。
香港コンベンション&エキシビション・センター内の広大な敷地の中、ひときわ大きなブースを設置していたのが日本でもおなじみのアイスウォッチでした。2006年に創業して以来、独特のデザインセンスで世界を魅了するベルギーブランドです。
会場には伝統のスイスブランドや気鋭の新興ブランド、現地で親しまれる中国ブランドなど多彩な時計であふれていましたが、カラフルでモダンなアイスウォッチの存在感は、ひときわ目立つ存在。香港人や中国人はもとより、近隣アジアや中東から訪れたバイヤーたちが熱心に見入っていくのが印象的でした。
ブースでは、創業者にしてCEOであるジャン・ピエール氏と会合!
「どうして、香港フェアでこんなに大きなブースを構えているの?」といった、率直な疑問をぶつけてみました。
2つの型にしぼりアイデンティティを確立する!
──どうして、香港フェアでこれほど大きなブースを構えているのですか?
「香港のフェアには、2006年に創業してからほぼ毎年参加しているんですよ。香港は生産と流通の拠点なんです。またこのフェアでは、日本をはじめアジア各国の優秀なディストリビューターと出会うきっかけも生まれました。アイスウォッチの歴史を振り返ると、2010年代前半に大きなブームを迎えたあとに売上が落ちたのですが、2016年頃から再び人気を高めています。アジアでも復調しています」
──人気が高まっている理由はなんだとお考えですか?
「販売戦略を見直し、一度マーケットをクリーンにしたことでしょう。それからやはり、人々を魅了できる新商品を次々と出していったことにあると思います」
──アイスウォッチでは、どういった製品を展開されていますか?
「数多くのモデルを誕生させていますが、ダイバーズライクなデザインの『フォーエバーモデル』とシリコン一体型の『アイスモデル』の2つが基本です。さらに、複数のサイズと多彩な色・素材の展開を掛け合わせることで、老若男女さまざまなユーザーに訴求するモデルを開発させています」
──2つのデザインに絞った理由は?
「私たちと同じ価格帯のファッション時計には、文字板のロゴマークを隠せばどこのブランドかわからないものも少なくありません。しかし、『フォーエバーモデル』『アイスモデル』なら、ロゴがなくとも『これぞアイスウォッチ!』と思っていただけますよね? この2つにフォーカスすることで、アイスウォッチのアイデンティティを力強く確立でき、強みになっているんです。完璧で理想的な形を持ってれば、そこからやたらと逸脱する必要はありません。そのうえで退屈にならないよう、毎季新しい色や素材、文字板のデザインを活用して新鮮で時代にあったモデルを生み出しています」
2020年1月から男性モデルが急増!
──ユーザーの内訳を教えて下さい。
「大別すると、約60%が女性、約20%が男性、約20%が子供です」
──男女比で考えると、3倍近い開きがあるんですね。
「はい。その男性向け市場に、私たちは大きなポテンシャルを感じているんです。たとえば1000ユーロ以下(約12万円以下)の時計の動向を調べたフランスの調査では、女性向けモデルは約12.1%と2位のシェアを獲得しています。これはなかなかの成績で、今後も堅持していこうと考えています。一方男性向けですと、シェアは約2.5%で12位。女性の間でこれほどの注目していただいているのですから、男性にももっと気に入ってもらえるはずで、対象モデルや広告展開を増やすことで男性向けの売上を2倍以上に高めていきたいと考えています」
──たとえばどのような?
「こちらの『アイススティール』がひとつの象徴ですね。ステンレススチールの力強くたくましい要素がアクセントになっています。また、大きなケース径で主張が強いエクストララージ対応モデルや、精悍なクロノグラフモデルの増加も検討しています。ベルギーのデザインチームは女性のほうが多いので、どうしても女性向きのデザインが多くなるのですが、今後は男性向けを注力していきます」
──楽しみですね。
「一部はすでに発売されていますし、2020年1月頃からは一気に男性モデルが増えてきますので、楽しみにしてください」
日本市場にいっそう注力! さらに巨大コラボも計画中!
──広告展開にも力を入れるのだとか。
「その通りです。今、ひとつの広告に男性女性が登場する広告を作成しています。旅や音楽を楽しむ様子や、友情や愛情を確かめ合うような複数のシーンを1枚の広告の中で表現しています」
──このSNS風のビジュアルですね。昨今、ファッション時計はSNSの活用が不可欠に思われますが、そこはどのようにお考えですか?
「SNSが重要なメディアのひとつであることは確かで、過去にはSNSのブランディングに成功してヒットしたブランドもありますが、その頃とは時代が変わりました。いまやSNSには広告が飽和し、今から5年前と同じように注力しても成功はしないでしょう。あまりに情報が多く、若者はひとつひとつに意識を向ける時間がありません。市場調査結果を見ても、今でもSNSに注力し続けているブランドはシェアを落としつつあります。伝統的なウォッチメーカーであれば、少し事情は異なりますが。いずれにせよ、私たちはSNSの重要性も考慮しつつ、全方位に向けたマーケティングを進めていきます」
──時計ブランドもいろいろで、それぞれやり方は異なるということですね。
「時計業界は、3つに分かれると考えているんです。1つめは、SNSに強い新興ブランド。2つめは、長年時計を作り続けてきた老舗時計ブランド。3つめは、アパレルを本業とするファッションブランドです。私たちは時計ブランドとしてSNSに偏ることなく、幅広い方に魅了を伝えていきたいと思っています」
──日本についてはどのようにお考えですか?
「日本は私が大好きな国。創業以来、日本のミヨタ製ムーブメントを使わせてもらっていますしね。新しいショップもリニューアルオープンさせ、注力していきます」
──5人組ダンス&ボーカルグループ『Da-iCE』、人気アニメ『美少女戦士セーラームーン』、『スヌーピー』など、日本ではいろいろなコラボをされていますね。
「はい。これらは日本のディストリビューターであるビヨンクールさんの主導のもとで実施されました。巨大なブランドだとすべてトップダウンで進むものですが、私たちは柔軟な姿勢を持ち、各地からいいアイデアがあればどんどん取り込んでいきます。また、まだオフレコなのですが、世界の誰もが知る有名ブランドとのコラボ計画が進んでいます。きっと驚くと思いますよ」
──それは楽しみです!
「このほかにも、画期的な機能を備えた新作も開発中で……公言できるときがくれば、お話させてください」
──日本のアイスウォッチのファンにメッセージをお願いします!
「日本は私たちにとって重要な国。特に来年はオリンピックも開催されますし、大事な年だと思ってます。存在感を高めるべく、魅力的なコレクションをお届けしていきます」
HKTDC香港ウォッチ&クロックフェアという場だからこそ、いつもよりグローバルな視点でお話を伺えた今回のインタビュー。アイスウォッチの勢いを感じる貴重な体験でした。
アイスウォッチ 原宿
03-6804-6932
公式ウェブサイト
取材・文/横山博之 撮影/松岡 誠
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