ここでしか買えない! MonoMax別注企画第6弾! フィーコ「8レイヤー長財布」の制作秘話を大公開します!
編集部/柚木
「馬革の上品トート」オンオフ兼用しやすい“大人のトートバッグ”をアントラックで発見!
MonoMax別注企画第6弾は、MonoMaxの誌上企画「最優秀モノ」でも幾度となく賞を獲得し、毎年各ジャンルのプロから惜しみない賞賛を受けている、国内の名門ブランド「フィーコ」とコラボ。大胆な蛇腹マチが特徴的な容量たっぷりのボディには、8つに区切られた収納スペースが用意され、外観も大人にふさわしい上品な仕上がりに。まさに機能美の極みを形にした別注財布の魅力を、MonoMax編集長・柚木が、開発に携わった2人のスペシャリストと語り尽くす。
柚木 今回は日本製ならではの質実剛健さと、大人の持ち物に相応しいエレガントさの両立を目指しましたが、パーフェクトな仕上がりです。
三浦 多層構造の財布は、あまり手掛けたことがなかったのですが、満足のいく出来栄えになりました。
柚木 「あまり手がけたことがない」というのは、何か理由があるのでしょうか。
三浦 多層構造にすると、使用する革の量が増えたり、製造に手間がかかったりするので、コストに影響を及ぼしやすいんです。そうなると販売価格にも反映されてしまうので、ブランド側としては、アイデア出しの段階で最初にトレードオフする部分だったりするんです。
柚木 なるほど。今回は編集部内で「あったら便利なのに、なかなか見つからない多層構造の財布を」という声が上がったことがきっかけでお願いさせていただいたのですが、実際、このようなレイアウトの財布は、市場に出回っている数も多くはないんですね。でも、本誌スタッフにも使ってもらったところ「収納力の高い束入れ&マルチポケットが計8つもありながら、見た目はスッキリ!」と大好評でした。となるとやはり、製作の過程で苦労された点も多かったのではないでしょうか?
三浦 多層構造の設計ということで、多くの財布には取り入れないようなディテールをいくつか盛り込んだのですが、そこで新たな調整が必要になりました。たとえばホック部分。これだけ収納力のある財布なので、中身が多くなったときベロの留める位置を調整できるように、ホックのメスを2つ本体に取り付けていますが、ベロを下のホックに留めても、上のホックに留めてもメスの部分が見えないように、配置やベロの長さに気をつかいました。
柚木 それは気づきませんでした。確かにしっかりと隠れていますね。機能性もしっかり追及しているのに、外側から見るとまるで形跡がない。さすがです。
三浦 あとは、小銭入れの片方に笹マチをつけて、コインを取り出しやすくしたり、背中にも思い切ってポケットを切ったり。財布の中身が散らかりがちな人には最適なレイアウトになっています。
柚木 内側を細かくレイヤー分けし、側面から見ても細かくマチが設けられているのに、これほどスリムに仕上げられたのはなぜなのでしょうか。
三浦 やはり素材の妙でしょうね。今回使ったフィーコ コンチャレザーは、イタリア革を彷彿させるしなやかさと堅牢性を併せ持っているので、厚みを最小限に抑えつつ、実用性の高い蛇腹マチを設けることができました。普通のヌメ革でこういった多層構造を作ると、もっとぼってりとした感じになると思います。
柚木 三浦さんが大絶賛のコンチャレザー、生みの親である中村さんは、もともとどういう狙いがあって開発されたのですか?
中村 最初は、磨いたり、擦れたりするうちにピカピカに輝く……そんな宝石のような革を作りたいと思ったのがきっかけです。革の経年変化を楽しむには、やはり美しいツヤが出たほうが面白いじゃないですか。そういう意味でいうと、短時間でここまでわかりやすくツヤの出る革は、そうないと思います。
柚木 表面は蜜蝋系のワックスで仕上げられていますよね。これも美しいツヤと関係しているのでしょうか。
中村 そうですね。ただこの革は、タンニンなめしで「クラスト」という下地を作ったのちに、もう一回ワックスを革の内側に染みこませる作業を追加しているんです。いわゆる「二度なめし」という製法ですが、内側と外側の両方にワックスを閉じ込めているので、これだけツヤが出るわけです。
三浦 今回はコバの仕上げも通常はコバ液を使うところを、シンプルにふのりで磨くのみにしました。それでもこれほどツヤが出るのは、素材にしっかりとワックスが染み込んでいる証拠ですね。
柚木 そういった部分は、先ほど三浦さんがおっしゃられた「イタリアレザーを彷彿させる」という点と関係があったりするのでしょうか。イタリアレザーを意識されているとか。
中村 そうですね、意識はしています。日本製のレザーの優れている点は数多くありますが、タンナー時代からイタリアレザーのすごさをずっと感じてきたので、ブッテロやミネルバに追い付くような質感、ツヤ感のものを作りたいという気持ちで、時間をかけて試行錯誤してきました。
柚木 なるほど。やはり革の製造に関しては、ヨーロッパに一日の長があるんですね。
中村 ヨーロッパ製の革が必ずしもいいというわけではないのですが、同じものを作ろうとするとやっぱり、なかなかできるものじゃない。できないのって悔しいですし、いつかは近いところまでいきたいと思っていたので「アチラと違うのは何だろう。原皮かな、薬品かな、オイルかな、タンニンかな」と、いろいろ試しながらやってきましたね。
三浦 中村さんが「イタリアの革を目指してやられている」という事前情報はあったのですが、初めて革の実物を見たときは「ここまでできるんだ」と感心しました。国内産でここまで作り込んでいる革って、めったにないですから。
中村 ありがとうございます。いまは世界中でどんな革でも手に入る時代なので、ヨーロッパの展示会に“日本産の革”として出品しても「おっ」と言われるようなものを作りたいと思って、これまで現場のスタッフと努力してきました。素材自体は、握ったりすれば、すぐにその形に馴染むけれど、まっすぐに手で伸ばすとまた元に戻る。とにかく形状記憶性が高い特性があるので、カードのあたりやポケットへの馴染みなども含めて自分の形に変化していきますし、まさに使う人の歴史が刻まれる財布だと思います。
文/編集部 撮影/村本祥一(BYTHEWAY)・木村武司(木村写真事務所) スタイリング/栃木雅広 モデル/タカシ
11月10日(月)正午
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