今年8月、エースから新ブランド「UNTRACK(アントラック)」が登場! オンとオフの往来をシームレスに捉えたバッグとウエアを提案するライフスタイルブランドとして、ローンチしました。
エースといえば、「ガジェタブル」などのビジネスバッグや「プロテカ」などのスーツケースで知られるバッグメーカー。それが今回、バッグだけでなくウエアまで展開するなんて……!?と、大きな話題を集めています。
左)スタイリスト 栃木雅広さん、右)エース ライフスタイル事業部 マネジャー 生本紘史さん
いったい、「アントラック」ではどのような製品がラインナップされているのでしょうか? このブランドが目指す世界観とは? 本誌おなじみのスタイリスト・栃木雅広さんが、ブランドディレクターであるエースの生本紘史さんから話を伺いました。
カジュアル見えなのに高性能なバッグをリリース! さらに……“着るバッグ”まで登場!
アーバンアウトドアスタイルのデイパックはデザインも機能も突き詰めた!
アントラック「CITY/VT デイパック大」各¥27,500(税込) W32×H46×D14㎝
栃木「現在、アントラックでは4つのバッグシリーズが展開されていますけど、目を引いたのがこのCITY/VTシリーズでした。エースさんといえば機能的で実用性を重視したバッグのイメージが強いですけど、このデイパックはかなりシンプルな見た目をしていますよね」
生本「はい。古き良きデザインというか、『デイパックといえばこれ!』と誰しもが思うような、オーセンティックなスタイルをベースにしました。その上でミリタリースペックを備えたベンタイル生地で耐水性・防風性・浸透性・通気性を高めたり、都市生活に必要なファンクションを装備させているんです」
生本「都市生活に欠かせないツールといえば、ノートPC。背面に独立した収納スペースを確保することで、少ない手間でカンタンに出し入れできるようにしました」
栃木「PC収納がメインコンパートメント内にあると、ちょっと奥まった感じになりますもんね」
生本「ファスナーやホックボタンで開閉するトップポケットも備えています。内部にはメッシュポケットやキーフックも備え、使用頻度の高い小物の収納に適しています」
栃木「これはいいですね。『外側にはフロントポケットがひとつだけ』なのがデイパックの特徴ですけど、小物を整理しにくいのも事実。このトップポケットは使い勝手がいいし、デイパックらしい見た目を損ねていないのも魅力的です」
生本「背負い心地にもこだわりました。バックパネルとショルダーハーネスには通気性やクッション性に優れたパッドを敷き詰めていますし、ハーネスも快適に背負えるよう、体にフィットする形状に仕上げています」
栃木「そこはエースさんの面目躍如ですね。チェストベルトまで装備していて、背負いやすかったです」
収納力はバッグに負けない!? 手ぶらスタイルを実現するジャケット&パンツも展開!
アントラック「UT-A1d ジャケット」¥36,300(税込) 「UT-A1bワイドシルエットパンツ」¥20,900(税込)
栃木「そして大注目のウエア製品ですね。このジャケットもパンツもミニマルをベースにしつつ、コンシールファスナーを使った胸ポケットや裾にドローコードが付いたパンツなど、ディテールからモダンな雰囲気を感じました。全体の仕立ても、よくできていると思います」
生本「ありがとうございます。いま挙げていただいたディテールも、やはり都市生活における利便性を高めたいという想いから採用したものです。パンツの裾にドローコードを付けたのは、自転車乗車中に裾の巻き込みや汚れの付着を防ぐためですね」
生本「また右脇には大型の隠しポケットを備えていて、スマホや財布をはじめ、さまざまな荷物をしまえるようにしています」
栃木「収納といえば、このジャケットもスゴイです。内側に4つものポケットが備わっている。さらには、それぞれのポケットに小さなアイコンも付いていますけども、そこに描かれた小物をしまおうということですか?」
生本「はい。ご提案として、ですね。スマホ、ワイヤレスイヤホン、鍵、財布、パスポートといった、外出するときに欠かせない荷物をスマートに収納できるようポケットを配置しました」
栃木「ポイントは生地にも。ナチュラルなシワ感があるから、内ポケットに小物を入れても表に響きにくくなっている。考えられていますね」
生本「このコーデュラナイロンは、オンとオフをシームレスにつなげられる素材のひとつだと考え、採用しました。撥水性やストレッチ性に優れていますし、自宅の洗濯機でも洗えるイージーケア性も装備していますので、すごく使い勝手がいいんですよ」
ロングコートにも驚きの収納力を実装!
アントラック「UT-A1a ロングコート」¥47,300(税込)
生本「同じUT-A1シリーズからは、ロングコートも登場しています。こちらにも先ほどと同じコーデュラナイロン生地を使用しています」
栃木「裾がわずかに広がるAラインシルエットで、上品さを感じます。留め具を表に見せない比翼仕立てで、やはりモダンな印象を受けますね」
栃木「こちらにも充実した内ポケットが備わっています」
生本「はい。ただジャケットとは異なり、左右それぞれに1つずつ大型ポケットを設け、内部に2つの仕切りポケットを付けた設計にしています。そうすることでタブレットサイズの荷物も収納できるうえ、小物も整理しやすくしました。左側には伸縮するキーフックを設け、鍵を取り付けられるようにしています」
栃木「まさに“着用するバッグ”ですね。ちょっと出かけるくらいなら、バッグなしに済ませられそうです」
シンプルに思えるシャツにも収納力を高める工夫が!
アントラック「UT-A3a レギュラーカラーシャツ」¥18,700(税込)
栃木「アントラックではシャツまで展開されていますけど、これにも秘密がありそうですね」
生本「ありますよ(笑)。まず基本性能として吸汗速乾性やストレッチ性、イージーケア性を備えた生地を採用しています。またジャストすぎない少しゆったり目のシルエットと程よいシワ感のバランスが絶妙で、着たときのきちんと感が出るよう意識しました」
生本「ポイントは、やはりこちらも内ポケット。前身頃の左右、それぞれにメッシュ素材の内ポケットを備えていて、財布などをしまえるんです」
栃木「しかもこのシャツ、上3つはホックボタンだから開け締めがカンタンなんですね。内ポケットから荷物を出し入れするのに、ストレスがなさそう。それに、下のほうのボタンを留めたまま脱ぎ着したい、僕のような横着な性格の人にも理想的ですよ(笑)」
新たな働くスタイルが生まれる今だからこそ、バッグとウエアがクロスするアントラックが生まれた!
栃木「バッグはシンプルでいて機能的だし、ウエアには想像以上の収納スペースがあって、実にユニークな製品ばかりでした。そもそも、どうしてアントラックは誕生したんですか?」
生本「バッグメーカーとしてさまざまな製品を開発するには、『人々がどのような荷物を持ち歩いているのか?』『どのようなライフスタイルを過ごしているのか?』など、実際にお使いいただける方の分析が欠かせません。そうした情報をもとに、みなさまが望まれている機能やデザインを備えたバッグを生み出してきました。ただ、そうした調査を行うと『バッグは持たない/持ちたくない』と答える方が一定層いらっしゃるんですね」
栃木「ああ、それわかる気がします。僕もできることなら、なにも持ちたくないタイプ。昨今のファッションもそうですけど、今は『ストレスがない』ことがなにより重要視されていますよね。ゆったりしたシルエットや肌触りのいい素材、イージーケアな機能が求められるのもそう。バッグも軽量性や機能性が大切だけど、究極的には『持たなくてすむなら……』となっちゃうのかな」
生本「そうした方々にもアプローチしていくべく、バッグとウエアの新しいスタイルを提案したかったんです」
栃木「とはいえバッグメーカーのエースさんとして、ウエアの開発・製造は大変だったんじゃないですか? ゼロハリバートンやオロビアンコではゴルフウエアも展開されていますから、それらの経験も助けに?」
生本「そうですね。そういったところの工場やサプライヤーのご協力をいただきました。ただ、例に挙げていただいたラインはあくまでスポーツ用途であり、アントラックが目指す方向性とはまた異なりますから、さまざまな努力や試行錯誤を繰り返してきました。結果として見出したのは、『バッグの延長線上でウエアを企画する』ということですね。見た目は非常にベーシックでありながら、表から見えないところの構造にこだわる。そうしたところが、バッグメーカーらしい視点となるかと思います」
栃木「それでジャケットやコートのような、機能的な内ポケットが付いたんですね」
生本「はい。アイコンもプリントして、モノの指定席を設けました」
栃木「指定席があるって、いいですね。持ち歩くのに必要な荷物が減ってきた今だからこそ、どこかしまう場所を指定されていたほうがわかりやすいし、紛失防止にも役立ちそうです」
生本「また、『バッグは持たない/持ちたくない』と答える方の多くは20代後半から40代前半の、いわゆるミレニアル世代に多いんですね。バッグメーカーとして、そうした世代にリーチしていく必要性も感じていたんです」
栃木「なるほどですね。そういった意味でも、“アーバンアウトドア”をテーマに掲げたのはピッタリだと思います。このニューノーマル時代、若い世代ほどオンとオフの境目があいまいになってきていますから、アーバンアウトドアは両者をシームレスに橋渡しできる存在だと思います」
生本「どれも自信作です。ぜひご覧になっていただき、アントラックが目指す世界観に触れていただきたいですね」
アントラックのこだわりを間近に触れられるチャンス! ポップアップストアが期間限定で開催中!
アントラックのポップアップストアが期間限定で開催中! ここで紹介したバッグやウエアを、実際に手に取って、身に着けて試せるチャンスです。
「RAYARD MIYASHITA PARK POP UP STORE」
開催期間:2023/8/30~9/12
場所:東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 2F
Tel.080-2433-3709
「ジェイアール京都伊勢丹 POP UP STORE」
開催期間:2023/8/29~9/18
場所:京都府京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町 ジェイアール京都伊勢丹 6F イベントスペース
Tel.075-352-1111
エース
TEL:03-5843-0606
撮影/村本祥一(BYTHEWAY) スタイリング/栃木雅広(quilt)
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この記事を書いた人
ライター横山博之
カバン、時計、ファッションなど男性のライフスタイルを彩るモノを領域とするライター。デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビュー経験も豊富。時代の先端を行く技術やカルチャーにも目を向ける。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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