数多くの名作を抱えるG-SHOCKの中でも一際高い人気を誇っているのが、ブランド初のダイバーズとして1993年に誕生したフロッグマン。誕生から30年を迎えた今年、その初代フロッグマンである「DW-6300」の期間限定レストアサービスが行われているのをご存知でしょうか? どのような技術を駆使してレストアを行っているのか? 実際の現場を取材してみると、技術者たちの想いが伝わってきました!
リバースエンジニアリングによってベゼルを精巧に再現できた!
G-SHOCKの期間限定レストアサービスは、今回で第3弾。2018年と2021年にG-SHOCK初代モデル「DW-5000C」などオリジンを対象にしたレストアを実施し、大きな手応えを獲得。今回フロッグマンが選ばれたのは、ファンからの声が大きかったと企画を主導したカシオの難波和哉さんは教えてくれました。
「前回のレストアサービスをご利用いただいた方にアンケートを取ったところ、『フロッグマンDW-6300も同じようにレストアしてほしい』という声を多数いただきました。また、今年がフロッグマン30周年というタイミングもあって、企画の実施を決意したのです」(難波さん)
優れたタフネスを誇るとはいえ、30年も経てば加水分解によってベゼルが欠損してしまったり、長年使用しているうちに傷が付いてしまったりと、さまざまなダメージを受けてしまうもの。そこで今回のレストアサービスでは内部の点検や掃除、対応可能な範囲での機能回復に加え、ベゼルやバンドを新品へと交換。それによって作られたばかりのような見た目へとよみがえらせてくれるのですが、このベゼル&バンドの“復刻”にものすごく苦労したのだといいます。
「第1弾は対象モデルの依頼数は多くない想定であったため、『光成形(注型)』でベゼルを作りました。これはシリコンを使って一つ一つ手作りするもので、金型不要で安価なものの多量生産には不向きな製法でした。次の第2弾ではより多くの受注が見込まれたため、アルミを材料とした『簡易金型』に変更。コストを抑えつつ中量を安定して生産できるものの、複雑な形の場合に難易度が高いのが課題でした。今回も当初は『簡易金型』を検討したのですが、複雑な形状しているため再現が困難だったのです。そのため、少量生産に対しては割高となるものの、フロッグマン独自の魅力を損なわせないためにも精巧な表現が可能な鋼材金型を採用することに決めました」(難波さん)
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この記事を書いた人
ライター横山博之
カバン、時計、ファッションなど男性のライフスタイルを彩るモノを領域とするライター。デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビュー経験も豊富。時代の先端を行く技術やカルチャーにも目を向ける。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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