割れたり、折れたりしたとき、ただくっ付ければいいだけなら瞬間接着剤って、結構万能ですよね。もちろんくっ付きにくい素材ってのも存在しますけど、ただくっ付けるだけなら、たいがいのモノは瞬間接着剤でどうにかなります。
でも強度が必要な部品だったりすると、瞬間接着剤ではどうにもならないことが多いというのが現実。では、どうするかというと、エポキシ系の接着剤の登場となるわけです。
エポキシはさまざまな分野で活躍する接着剤の代表格
エポキシとは、いまからおよそ100年ほど前に、歯科医療用の接着剤として開発された化合物です。素材の組み合わせや配合によって、性質を変えることができるのが大きな特徴。電気絶縁性に優れた特性のエポキシなら電子部品の接着に、耐久性に優れた特性のエポキシなら土木建築に、耐熱性に優れた特性のエポキシなら自動車整備にと、いまでは歯科医療だけでなく、さまざまな分野で活躍する接着剤の代表格でもあります。
そんなエポキシ系接着剤で、世界一硬くなると評判の製品がJ-B Weld(ジェービー ウェルド)です。物体が引っ張られるときに、耐えられる力のことを抗張力といい、圧力を表すkgf/cm2という単位で表記されます。このJ-B Weldのノーマルタイプで、抗張力は352kgf/cm2となっています。つまり1平方cm の面積で、352kgという重さに耐えられるということ。わずか1平方cmで352kgですよ!
それだけ硬ければ、クルマの部品の接着もイケることでしょう。J-B Weldはアメリカ製なのですが、YouTubeでは実際にJ-B Weldを使ったアメリカ人による実験動画を数多く発見することができます。ただ、「それじゃあ、ちゃんとくっ付かないでしょ!」とツッコミたくなるような、間違った使い方をしている人も多く存在しているから厄介。
ちゃんと使えば、強度(抗張力)もあり、耐熱温度も280℃と高く、さらにガソリンやバッテリー液(硫酸)にも強い耐久性があります。一部のプラスチックは不可となっていますが、鉄・アルミ・ガラス・コンクリート・石・木材とほぼオールマイティに接着が可能なのです。
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この記事を書いた人
パーツデザイナー坂東 漠
スタンドがないと倒れる。ライダーの支えがないと自立できない。ライダーがいてもときにコケるといった2輪車の特性に魅了され、自転車、e-Bike、モーターサイクルの部品を開発。多くの人は気づかないが、それがないと成り立たないといったパーツを手がけている。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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