「コンビニ行こう」と思った時、どのチェーンを選びますか?家や職場から近いとか、クーポンがあるからとか、そういった理由が多いかもしれません。あるいは各チェーンでイメージはありませんか?たとえば筆者はファミリーマートに対し「なんか面白い商品がありそう」「ワクワクすることが起きそう」と想起しますが、マーケティング本部 メディア&プロモーション改革推進部長の橋本剛氏によると、ファミリーマートで実施するキャンペーンはやはり「話題にならないとダメ」という考えがあるようです。
SNSで拡散された「40%増量キャンペーン」の裏話や、1円値上げで爆売れした施策など、担当者が語るファミマ流マーケティングの秘密を紹介します。
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増量キャンペーンで“40%増量といいつつこっそり65%増量している”理由は?
ファミリーマート
マーケティング本部 メディア&プロモーション改革推進部長
橋本剛氏
8月にファミリーマートで開催されていた「お値段そのままデカくてうまい!! 40%増量作戦」は、価格は据え置きで対象商品14種類が週替わりで"ざっくり40%"増量しました。価格はそのままに中身を増量するキャンペーンは近年どのコンビニチェーンでも定期的に行われる人気企画となっていますが、実は最初に始めたのはファミリーマート。
「2021年にファミリーマート創立40周年の一環として40にかけたキャンペーンをやろう、と企画しました。最初は社内から『実際どのぐらい売れるの?』『こんなに増やしてお客様は食べきれるの?』といった声が挙がりましたが結果は大好評。あまりにも評判が良かったので5年連続で行っています」(橋本氏)
「食べきれるの?」という懸念に対しては、2回に分けて食べる方がいたり複数人でシェアする方がいるなど様々な楽しみ方をするお客様が多く、逆にファミリーマート側も驚いたといいます。やはり物価高の話題ばかり目にする今の時代、「圧倒的なオトク感」に私たちは惹かれてしまうのかもしれません。ファミリーマートは赤字覚悟でやっているのか?気になり聞いてみると「利益はしっかり取れています」とのことで、事前準備や材料の調達といった企業努力により赤字ということはなさそうです。
逆に40%増量キャンペーンで話題になったのは、「40%増量といいつつこっそり65%程度増量している」商品があったこと。「ファミマって40%の計算できないの?(笑)」と面白おかしくSNSで話題になりました。これはわざと行い、話題性を狙ったのでしょうか?
「40%増量と言うからには、少なくとも40%以上はどの商品でも増量していないといけないですから、確実に超えることは厳守していました。ただ、ぴったりちょうど40%増やすことが難しいものもあったんです。シュウマイや肉団子など、個数を増やすと結果的に50~60%増になってしまったものもあって」(橋本氏)
個数で計算してみると明らかに40%以上増量している
「そうするつもりは別になかったんですけど」と結果的にそうなってしまっただけだと話す橋本氏。敢えてファミマ側からは増量しすぎたことをアピールしなかったそうですが、気づいたお客様により拡散され大きな話題となりました。その後はキャンペーン名を「だいたい40%増量」(2023年)、「たぶん40%増量」(2024年)、「ざっくり40%増量」(2025年)と銘打つように。さらに5年間「40%増量キャンペーン」を行っていると、「どう増量するとお客様へのインパクトが強いか」もつかめてきたそう。
「サンドイッチの“中身だけ”増やしたことがあったのですが、他の商品と比べると……インパクトが薄かったのでしょうね。じゃあ中身はそのままだけど2個入りを3個入りにすれば50%増量になるからいいんじゃないか?と。もちろん原材料費は増えてしまいますけど、お客様が喜ぶほうを選んでいますね」(橋本氏)
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この記事を書いた人
ライター松本果歩
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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