「まだ誰も知らない…島根西部を体験」絶景を望める“稲成神社”、エンタメの極み“石見神楽”…リアルなディープ・ジャパンを巡る旅【歴史と伝統編】
執筆者: ライター・エディター/鈴木恵理子
石見神楽に命を吹き込む神楽面『柿田勝郎面工房』
石見神楽の舞台に欠かせない存在、それが「神楽面」。島根県浜田市にある「柿田勝郎面工房」では、伝統的な技法でこの神楽面が作られている。工房で使われるのは、粘土型に何層も石州和紙を重ね、柿渋で補強する「張り子」の技法。木彫りから進化を遂げ、軽さと丈夫さを兼ね備えた和紙の神楽面が誕生した。
特に特徴的なのが「脱活(だっかつ)」という製法。粘土型を壊して和紙の面を取り外すため、どんな複雑な造形も再現できる。「早変わりや重ね面など、木の面ではできないことが和紙の面なら可能になる」と語る二代目の柿田兼志さんの言葉からも、石見神楽が伝統を守りながら時代に合わせて進化し続けているんだなと納得。最近では、大衆演劇や海外の舞台からのオーダーも増え、その需要はますます広がっている。
ぱっと見は木彫りの面のように重厚感があるが、実際には驚くほど軽い。その軽さと引き換えに、職人が手作業で仕上げた神楽面には、深い文化と歴史の重みが詰まっている。和紙で作られたこのお面が、どれだけ細部にまでこだわりぬいた職人技の結晶なのか、改めて実感した。
DATA
柿田勝郎面工房
島根県浜田市熱田町636-60
TEL:0855-27-1731
https://kakita.ai-fit.com/
この記事のタグ
この記事を書いた人
ライター・エディター鈴木恵理子
11年間の編集プロダクション勤務を経て、2011年よりフリーランスに。雑誌やムック、ウェブなどで、ヘアやビューティページを中心に活動中。暮らしに役立つ実用系やメンズのビューティ記事の経験も豊富。好物は古物や古道具。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
モノマックスの記事をシェアする
関連記事