5月13日の発売以来、今までのチョコレートの定義にあてはまらない、未体験の食感と味わいが大きな話題となった「生のときしっとりミルク」。ファンの心を鷲掴みにした食感と味わいについて、食の識者と開発者に詳しく解説してもらいました!
明治
生のときしっとりミルク
オープンプライス
チョコレート(水分3%以下)と生チョコ(水分10%以上)の間にあたる水分領域を実現した新領域のお菓子。カカオとミルクを練り合わせる特許製法「生ねり製法」によって、しっとりとやわらかで濃密な味わいが楽しめる。28℃以下で常温保存可、賞味期限10カ月。※関東甲信越限定発売
CONTENTS
チョコレートでも生チョコレートでもない!? 食のプロはその美味しさをどう語る?
左)お菓子研究家 SAWAKOさん
英米仏などで製菓を学ぶ。お菓子教室「Fait Beau Tokyo」主宰。メディアでも活躍中。近著『ザクザク食べたい アメリカンスタイルのお菓子』。
右)コーヒールンバ 平岡佐智男さん
お笑いコンビとして活動するほか、コーヒー好き芸人として各メディアでコーヒー知識を披露。猿田彦珈琲の広報担当の顔も持つ。
口の中でゆっくり溶ける未知の食体験
平岡(以下、平)「パキパキでもサクサクでもなく、噛んだ瞬間にやわらかく沈み込む感じがいいですね。ミルクとカカオのまろやかな甘さがゆっくりゆっくりと口の中に広がっていくのがすごく心地よくて、今ちょっと寝ちゃいました」
SAWAKO(以下、S)「優しい甘さで食べやすいですね。板チョコレートほど固形の感じもなく、生チョコレートほど溶ける感じもなく、食べ心地が独特です」
平「これだけ口の中に長く滞在する感じは初めての体験だと思います」
休憩時間に食べたいご褒美感あふれる味わい
S「この食感を何かに例えるなら……キャラメルに近いですかね。ゆっくり溶ける感じとか」
平「しっとりした食感なのに手で持っても溶けないのも食べやすいです。オフィスなどで、みなさんが休憩中に食べているイメージが湧きました」
S「ご褒美感があって、大人向けなお菓子ですね」
平「余韻の甘さとコーヒーの相性がすごくよさそうだと感じました。『生のときしっとりミルク』が口の中で溶けていって、もうなくなるかなぐらいのところでコーヒーをスッと差し込むと、リラックスできると思います」
S「どんなコーヒーが合いそうですか?」
平「ホットコーヒーと合わせて口の中のアクションを楽しんでもいいですし、フルーティーなコーヒーで雰囲気を変えて楽しむのもおすすめです」
味わいからわかる素材のこだわりに驚嘆!
S「『生のときしっとりミルク』のなめらかで濃厚ながら、ゆっくり溶けていく感じはクリーム由来ですよね。このなめらかさを水分が少ない領域で実現するのは、とても難しいはずです」
平「美味しさの裏にそんな秘密が!? 勉強になります。これだけカカオの香りが豊かなのは、きっとカカオも香り高いものを厳選しているはずですよね。そう考えると贅沢感がすごいです」
S「チョコレートに生クリームを合わせた生チョコレートは日本発祥なので、日本には生チョコレート好きな方が多いです。その方々はすぐ気に入ると思いますよ」
平「しかも、28℃以下の常温で保管できて賞味期限が10カ月ですもんね。本当にいいとこどりの新ジャンルのお菓子という感じです」
絶妙なサイズ感と個包装にも脱帽!
S「女性でも食べやすい薄さとサイズもいいですね。気軽につまめて、市販のお菓子に比べて、圧倒的にご褒美感が高いように思います」
平「小判型のサイズに幸せが詰まっていますね! もらうと小判ぐらい嬉しいかも。個包装になっているのも食べる幅が広がるといいますか。オフィスのデスクやバッグに忍ばせておいて、一息つきたいときに食べるのもいいですね」
S「一個で満足感があるので、大切にじっくり味わいたいですね」
【開発者にインタビュー!】常識を超えた新発想ずくめ! 4つのキーワードから明治「生のときしっとりミルク」の美味しさをひもとく!
なぜチョコレートと呼べないのか? 独特の食感と味わいはどんなメカニズムになっているのか? 開発者の黒須さんにお話を伺いました。「生のときしっとりミルク」について知れば知るほど、食べたときの感動がより大きくなります!
カカオ開発部 カカオG 黒須充春さん
研究所でのチョコレート研究などを経て現職。「ミルクチョコレート」や「ザ・チョコレート」など、明治ブランドのチョコレート製品の企画開発を担当する。
[01]これまでにない水分領域の新ジャンルの食べ物!
「チョコレートの楽しみ方の幅を広げ、お客様にもっとチョコレートを楽しんでもらいたいと思ったのが開発のきっかけです。手始めに弊社の過去商品を振り返るなどしていたのですが、ヒントになったのは『メルティーキッス』など生チョコレートのやわらかい口どけと『きのこの山』などチョコレートスナックの心地よい食感です。やわらかさと食感が重要な要素だと思い、チョコレートの味わいがしっかりと楽しめて、かつやわらかく新しい食感のお菓子を作ろうと考えました。最初は保存性からアプローチし、やわらかいけれど日持ちがする水分領域はどこにあるかを突き詰めた結果、日本チョコレート・ココア協会が定めたチョコレートの規約にあてはまらない領域に落ち着きました。なので、『生のときしっとりミルク』はチョコレートという表記はしていないのです。また、この水分領域を実現するために開発したのが、特許技術の、生ねり製法です」
[02]商品化まで8年! 独特の食感は明治独自の生ねり製法により生まれる
「『生のときしっとりミルク』は水と油を混ぜて生地を作ります。水はクリームや液体状の糖類、油はチョコレートの成分です。一般的には水と油を混ぜるには乳化が必須です。乳化は水分が多い状態で行いますが、今回は保存性を高めるため水分をできるだけ少なくしました。その結果、水が極端に少なくチョコレートが多い状態で混ぜるという、非常に難しい作業が発生しました。そこで開発したのが生ねり製法です。素材に強い力をかけて練り合わせる製法なのですが、質が均一な生地を安定的に作り続けるのが難しく、完成するまで5年かかりました」
明治の特許技術・生ねり製法によってチョコレート原料とクリームや糖類が均一に混ざりあった状態。しっとりとやわらかい生地になっていて、これを成形して「生のときしっとりミルク」ができあがります。
「さらに、手軽に食べてほしかったので形にもこだわりました。柔らかい生地を成形するのは難しいのですが、5年かけて形を作る製法を開発しています。同時進行しているときが2年ぐらいあるので、商品化に8年を費やしています」
成形をする機械を通し、小判型の状態に成形。やわらかい生地を型枠などに入れることなく成形するのは高度な技術が必要ですが、手軽に食べてほしいという思いから、ひと口サイズにこだわっています。
こちらが明治の研究所。チョコレートの原料となるカカオなど食材の研究が日々行われています。研究の成果が新商品のヒントになることも。
[03]チョコレートと生チョコのいいとこどり! 時間をかけて味わいの変化を楽しめる
「生ねり製法で作った『生のときしっとりミルク』は、ひと口噛むと板チョコレートほど硬くなく生チョコレートほどやわらかくない食感から始まります。口に入れてもすぐには溶けず、口の中に残る時間が長いのが特徴です。その間ミルクとカカオの味わいは口の中に広がっていきます。風味を濃厚に感じつつ生地のやわらかさを感じる時間が続くことで、非常に高い満足感が得られ、最後はスッと消えてやわらかな余韻が残ります。少し抽象的な話になりますが、味が長く続く理由は、生ねり製法で作った生地はチョコレートとミルクが編み物のように紡がれた状態になっており、ほどけるのに時間がかかるのです。これによって風味を感じる時間を稼いでいるわけです。また、今回は味のバランスをミルクチョコレートに近い設計にしているので、幅広い方に気に入っていただけると思います」
[04]目指したのは一年中食べられる“やわらかい”チョコレート! 生食感なのに常温保存できる!
「食品全般に共通して言えることですが、製品中の水分を少なくするほど保存性は高まります。その点で、生ねり製法の生地は水分が少ないのでリスクが低いといえます。また、『生のときしっとりミルク』は糖類の配合をコントロールして菌類が水分を利用しにくい設計を採用しました。その結果、アルコール不使用で28℃まで常温保存でき、賞味期限が10カ月という高い保存性を担保しています。余談になりますが、チョコレートに洋酒が使われているのは、味付けのほかに保存性を高める狙いもあるのです。『生のときしっとりミルク』は無垢チョコレート(ナッツなどの入っていないシンプルなチョコレート)市場に新しい選択肢を生み出し、チョコレートの楽しみ方が増える存在になるのではと思っています。日常生活の中で楽しめるプチ贅沢といったポジションをイメージして作りましたので、例えば夜のリラックスタイムに食べるなど、ちょっとした特別感を味わいたいときに楽しんでいただけたら嬉しいです」
問い合わせ:明治 お客様相談センター
Tel:0120-041-082
公式webサイトはこちら
取材・文/金山 靖 撮影/坂下丈洋(BYTHEWAY) イラスト/ヤマサキミノリ
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この記事を書いた人
ライター金山 靖
文房具、家電、インテリア、雑貨などライフスタイル系グッズに精通。商品の企画開発担当者をはじめ、タレントや文化人などへのインタビュー経験も豊富。カップ麺やお菓子などグルメ全般にも造詣が深い。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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