【乗ってみた】世界で一番車幅の広いクルマ(!?)キャデラック・エスカレードを都内で乗りまわしてみてわかったこと
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昨年MonoMax本誌にて、筆者は「クルマナンバーワン図鑑」という特集を担当しました。そのなかで、「全幅の広いクルマ」1位に輝いたのがこのエスカレード。GMが誇る高級ブランド・キャデラックのフルサイズSUVで、2015年に日本デビューした4代目モデルが、今年6月に商品改良されました。まず、ATを6速から8速へと多段化。4WDシステムには「4WD Lowモード」を追加して、悪路走破性能や牽引性能を向上させています。さらに、後席エンターテインメントシステムの強化など快適性を高めたほか、2列目シートをベンチタイプにした8人乗りも設定されました(「プレミアム」グレード)。
そのスタイリングは、いかにもアメリカ人がで好みそうな“ゴージャス&マッチョ”。きらびやかな超大型グリルはキャデラックの象徴であり、他のラグジュアリーブランドも追随するところです。夜の六本木あたりを流しても様になる押し出しの強さで、周囲から羨望の眼差しを浴びつつ堂々と走ることができます。
そんな特別な乗り手が選ぶクルマがこのエスカレードなのですが、実はクルマのほうも乗り手を選びます。なぜなら、最初に述べたとおり、とにかくボディが巨大だから(上写真参照。バイク比)。全長、全幅、全高どれもが世界最大級で、日本の都市部の細街路では、正直、入っていくのを躊躇するレベルです。感覚的には六畳の部屋ごと動いているような感じでしょうか(笑)。ただ、全高が高く着座位置もかなり高いところにあるので、意外にもボディの見切りがいいのが救いです(下写真参照)。ステアリングも軽く、よくきれるので、あとは運転の腕次第といったところでしょうか。
運転席に乗り込もうとすると、足元にステップがボヨンと自動で伸びてきます。よじ登る感覚で運転席に乗り込む必要があるだけに、これは嬉しく、また男心をくすぐるカッコいい装備です。インテリアは黒を基調とした配色で(ブラウンの設定もあり)、中央のディスプレイや各種操作パネルが浮き上がっているようなデザイン。質感が高いのはもちろん、シルバーメッキもいいアクセントになっていて、なんというかアメリカ車らしい派手で退屈しないデザインです。シートは背中を包み込むかのようにふんわりしています。アメリカ人が座るのに十分なスペースがあるのだから、日本人の我々が狭いと思うはずがありません。とにかく快適です。
搭載されるエンジンは、6.2リッターのV8。最高出力は426馬力とパワフルながら、気筒吸気システムなどを取り入れて低燃費化に努めています。ゆっくりとアクセルを踏めばそろそろじわじわと加速していきますが、アクセルをぐっと踏み込むと、ワンテンポおいてから迫力の音とともに圧倒的な加速がついてくる感じです。古きよきアメリカ車の味ともいえますが、このあたりは愛好家にとっては好ましい部分です。また、今回8段化されたATはスムーズかつ素直に変速して、高級感のあるフィーリングに貢献しています。
乗り心地はふわふわでゆったりですが、これがイヤな感じではなく高級感として感じられるのは、1260万〜1360万円という価格を知っているからでしょうか(笑)。その一方で、車体は堅牢でしっかりしていて安心感が高いので、今回は試していませんが、オフロード走行でも抜群のパフォーマンスをみせることでしょう。
ボディがデカいとはいえ、同車には車両周辺にさまざまなセンサーやレーダーが搭載されているため、接触する恐れがあるとアラーム音やシートクッションの振動で知らせてくれます。バックの時などに車両を上から見下ろしたような映像を映す「サラウンドビジョン」は、最近(名称は違えど)他メーカーでも搭載車が増えていますが、こんなに便利だとは思ったクルマはほかにありません。
とにかくあまり見かけることのないクルマなので、街中でエスカレードを見つけると、庶民感情としては「いったいどんな人が乗ってるんだ?」と、つい車内を覗きたくなってしまいます(笑)。しかし逆に言えば、それだけ人から注目を浴びること間違いなしのクルマですので、「そのへんを走っているフツーのクルマにはもう飽きた」というセレブ、ただしベンツの Gクラスなどと違ってキズが似合わないクルマなので、運転にもそれなりに自信のある人におすすめの一台です!
TEXT/安藤修也(フォッケウルフ)
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