コンビニの駐車場で左手にアメド・右手におにぎりで食べるのは自分だけって気づかなかった
しかし現在では新商品がたびたびSNSで話題になるなど、ドンキを代表するブランドになった「偏愛めし」。犬塚さんがヒットを確信したのは24年の5月に発売した「フライドチキンの皮だけ弁当」の頃でした。
「ドンキ公式のSNSではなく、一般のお客様からの口コミでバズっているのを見たのが初めてだったので、偏愛めしが知れ渡ってきたのかな?と開発メンバーのモチベーションが上がった瞬間でした。その頃から、わさびや唐辛子といった食材の偏愛から、フライドチキンの皮や中華丼のキクラゲといった部位で攻めるように方向性も変わってきたかもしれません」(犬塚さん)
確かに、その後の商品はどこか個人的なエピソードと紐づいたものが増えています。たとえば「アメリカンドッグのココだけ弁当」について筆者は発売当時、犬塚さんからこんな話を聞いていました。
「アメリカンドッグを食べる時って、コンビニの駐車場で左手にアメド、右手におにぎりを持って食べるじゃないですか、それでアメド、おにぎり、アメド……と交互に食べますよね。そうすると、アメドにつけたケチャップの味とおにぎりが混ざって、ケチャップライスみたいになるじゃないですか。なので、アメドとケチャップライスの相性が良い、ということでこの組み合わせです」
商品説明会の場で聞いた当時、本当に意味がわからなくて、「それは犬塚さんだけの話では?」と思わず突っ込みたくなったことを覚えています。そんな偏ったエピソードをもとに誕生した「アメリカンドッグのココだけ弁当」。しかし犬塚さんは「当時は僕だけじゃなくて、みんなやってることだと思ってたんですけどねぇ」と笑います。発売直後にSNS上で「ケチャップライスとアメドを一緒に食べる意味がわからない」「なぜお弁当にする必要がある?」といったコメントを見て、このアメリカンドッグの食べ方は自分だけだと気づいたのだそう。
「でも最初に『アメリカンドッグのここだけ』の部分だけをお菓子として発売していたら、あんなに広まっていなかったと思います。『アメリカンドッグのここだけ』をお弁当にしたっていう、変態的な攻め方をしたのがよかったのかなと。現在は『アメリカンドッグのここだけ』のみの販売をしていて、そちらの方が売れてはいるのですが」(犬塚さん)
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この記事を書いた人
ライター松本果歩
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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