競合は他の中華チェーンではなくサイゼリヤ
駅前に多く出店している日高屋ですが、今後はロードサイド(郊外や幹線道路沿い)にも多く出店を計画しています。駅前で安く“ちょい飲み”ができることで成功してきた日高屋は、ロードサイドでも成功できるのでしょうか?車が必要な立地ではお酒が飲めず、その強みが活かせないような気もします。
「ロードサイドで中華を提供するお店は他にもありますが、料理を提供するスピード感と価格面でも日高屋は負けていないと思っています。日高屋の調理スタッフはみな中華鍋を振った調理ができますから、味も決して負けません。
そして実はすでに出店しているロードサイド店でもアルコールを注文されるお客様は多いんです。通常、ロードサイドの店ではアルコール注文比率(売上全体に占めるアルコール商品の割合)は2~3%程度だと言われていますが、日高屋のロードサイド店は10%ほどもあります」(青野氏)
これは日高屋のスタイルも関係しているといいます。家族でラーメンを食べに行く際、いわゆる「ラーメン屋さん」に行くと全員がラーメンを注文すると思います。しかし日高屋なら、様々な定食や種類豊富なラーメン、ちょっとしたおつまみでちょい飲みすることも可能。家族の中で運転をしない人だけちょい飲みをする選択肢も生まれ、アルコール注文率が上がるのです。
さらに、ロードサイド店といえど近くにスーパーやホームセンターなどもある、住宅街の近い場所を選定することで徒歩圏内に自宅がある方の取り込みにも成功しているといいます。
「昼よし夜よしは当店の強みかもしれません。うどん屋さんや牛丼屋さんはどちらかというと昼がメインだと思いますし、居酒屋さんは夜の時間帯は強いですけど、昼間は弱いですよね。その点日高屋は昼も夜もお客様が来店しやすいのだと思います。そういう意味では競合はサイゼリヤさんやマクドナルドさんだと思っています」(青野氏)
「サイゼリヤさんはグラスワインが1杯100円ですもんね~、税込100円でワインはなかなか飲めないですよね~」とお酒好きならではの視点でうなる青野氏。しかし、サイゼリヤは学生の利用が多いので、「ドリンクバーを飲んでいる学生さんの隣でお酒を飲むのはちょっとアンバランスな感じもするから、ちょい飲み需要としては日高屋を利用してもらえるのかな」とも分析していました。
たとえ原価率が上昇してしまったとしても、目先の利益ではなく長い目で客が何度も来店してくれることで成功してきた日高屋。「お客様ファースト」を掲げることで長く愛され、結果的に最高益を達成することができる青野氏の経営の真髄を見た気がしました。
取材・文/松本果歩
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ライター松本果歩
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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