「インポッシブル・アーキテクチャー」を観に行かなクチャー!
先日、日経新聞で紹介された埼玉県立近代美術館で開催中の「インポッシブル・アーキテクチャー」を観に行ってきました。
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不可能な建築といってすぐさまに思い浮べるのが、ザハの新国立競技場ではないでしょうか。アンビルドの女王なんていう不名誉な称号が記憶に新しいと思います。
この展覧会では、ザハの新国立競技場のような実現には至らなかった数々の建築物の模型や、図面、CGやスケッチが展示されています。
想像力を広げて模型を見る
入場してすぐ目に入るのが、ロシアの建築家タトリンが1920年に構想した「第3インターナショナル記念塔」の模型。
空に向かって斜めに突き抜けるジェットコースターのような鉄の二重らせん構造で、その中の4つの空間がそれぞれ回転するという、見た目だけでなく機能も奇抜なアイデアでした。
完成していれば高さ400m。内戦さえなければ国際的なランドマークになったであろう…と、この小さな模型から誰もがそう思うことができるのは、足を進めた先に長倉威彦が作ったCG映像が流れているからです。
夜景が美しいロシアの広場に、まるで本当にそこに建っているかのように、その巨大な建築物が映し出されています。
海上都市や、空中都市という建築ファンタジー
さらに足を進めると、ブルーノ・タウトのスケッチ「アルプス建築」があります。アルプス山脈にクリスタルハウスでできた集落が光り輝いており、まるでファンタジー小説のイラストのようです。
これは、“戦争にかけるエネルギーがあるくらいなら、人間には世界をもっと住みよくすることができる”という信念で描かれたスケッチで、多くの建築家がタウトのスケッチに影響を受けたと言われています。
会場には菊竹清訓の海上都市や、黒川紀章の東京計画の模型も展示してありました。
世に名だたる建築家たちが考えたコンセプトはときに夢想的で、奇抜で突飛です。しかしその根底には、タウトが抱いていたような“人間への希望”が流れているような気がしてなりません。
不可能を見つめると、可能の際が見えてくる
瀧澤眞弓の「山の家」、磯崎新の「東京都新都庁舎」や、安藤忠雄の「中之島プロジェクトⅡ」など、社会情勢や制約、予算の都合や耐震構造といった問題で完成に至らなかった数多くの構想たち。
作品が完成しなかったのは、非現実的な構想だったからなのでしょうか?それとも世間の理解が追いつかなかったからでしょうか?
どんな奇抜な構想にも建築家たちの大いなる理想があり、たとえ未構築に終わったとしてもそのアイデアが次世代の礎になっているんだと気づかされます。
そうして改めて幻となった新国立競技場の模型と向き合うと、展示会鑑賞前とは違った印象を受けました。
不可能を通して、極限の可能性を浮かび上がらせるこの展示会は、埼玉で3月24日まで開催。その後、新潟・広島大阪でも巡回予定です。
場所:埼玉県立近代美術館
入場料:¥1,200
開館時間:10:00~17:30
月曜休館
(お問い合わせ)
埼玉県立近代美術館
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/
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