7月10日から放送スタートした『ウルトラマントリガー』。放送25周年を迎える『ウルトラマンティガ』を受け継ぎながら、まったく新しい物語を展開します。VFXも新しいチャレンジを多数試みており、今までに見たことがない斬新な映像が見られるそう。メイン監督を務める坂本浩一監督に、VFXのチャレンジと作品の見どころを聞きました!
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坂本浩一さん
1970年、東京都出身。映画監督、プロデューサー、スタントマン。ウルトラヒーローシリーズは、2014年『ウルトラマンギンガS』2017年『ウルトラマンジード』などでメイン監督を務め、海外の特撮作品にも携わる。
トリガーの1・2・3話で
早速新しい映像に出会える
『ウルトラマントリガー』では、新しいチャレンジをいくつかしていますが、一番は、やはり撮影技法です。特撮はミニチュアのビルとか木とか、飾るものが多いので、俯瞰というか地面が見えるようなアングルで撮影するのがすごく難しいんですが、今回はあえて、そのアングルにチャレンジしています。横から撮影するときは、手前に家やビルを飾ってウルトラマンの巨大感を演出しますよね。俯瞰になると、地面をどうやって飾るかという問題が出てくるんです。そうやって地面の見えるウルトラマンの戦いという映像を撮影するわけですが、そのカットを撮影するのに使ったのが、GoPro MAXという360度撮影できるカメラです。
僕は去年の『ウルトラマンZ』でも使ったんですが、そのカメラで撮影した360度の映像からいろんな部分を抽出しアングルを決めたりして、それにCG合成をするんですね。合成する素材はCGなんですが、ミニチュアの素材をCGに起こしたものなんです。あえてその手順を踏むことによって、他のパートと違和感なく見られるカットにするのは大きなチャレンジでした。今まではミニチュア特撮とCGとで、境目が分かりやすいところがあったと思いますが、今は技術が発展していて、昔の技術を使いつつ今の技術を取り入れて全体が違和感なく見えるよう工夫できるんです。特に『トリガー』の1、2、3話は新しい映像表現をお見せできると思うので期待してください。
CGの転換期という点では、僕が2009年に撮った『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』という作品がそうだったと思います。これは、ウルトラとしては初めてミニチュアを一切使わずにCG合成のみで背景を作った作品なんです。そこで得られた経験や実績を元に、その後段々とCG背景と昔ながらの伝統芸術であるミニチュア特撮をミックスさせたハイブリッドという形が出来上がって、今のニュージェネレーションヒーローズに受け継がれてきていると思います。それとは別に、僕は今、ウルトラマン公式YouTubeチャンネルで配信中の『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズという作品を監督させていただいているんです。そっちは『ウルトラ銀河伝説』からの流れで、ミニチュアを一切使わずに全てCG背景で宇宙での出来事を描くという物語なんです。同じウルトラマンだけれど、2つの全く違った見せ方の作品が両立しているのが面白いですよね。
没入感を高めるため合成した
長回しワンカットは大画面で見たい!
他にも新しい技術というところで、通常ワンカットではできない撮影をワンカットに見せるような、特別な合成技術を使っています。ワンカットで撮影してそれをCG合成で味付けをしていくとか、全部で4カットぐらいのカットをワンカットに見えるように繋いでいるところとか、いろんな手法を試しています。両方ともパッと見、長いワンカットに見えるんですけど、アプローチが違うんです。
長いワンカットって、自分がそこで体験しているような没入感が得られるんですね。ウルトラマンの巨大感やパワー、スピード感を生で見ていると錯覚するような体験ができるんですよ。そんな映像を作ることで、今までのカメラ視点で見る客観的な感じより一歩先に行った視聴体験を提供できるのかなと思っています。だから、ぜひ大きな画面で見て欲しいと思います。
史上最もスタイルのいい
ウルトラマンへのチャレンジ
造形では、今回のトリガーは、ウルトラマン史上最小と言っていいほど顔が小さいんですよ。近年はアメコミヒーローもコスチュームや細かい造形をアップデートしてますよね。ウルトラマンでもそういうことができないかと考えて、造形スタッフやデザイナーと模索したんです。あとは筋肉描写ですね。以前撮影したウルトラマンゼロでも腹筋を入れたりしたんですが、『トリガー』ではもっと筋肉描写にこだわりたいと思って、造形部に筋肉の写真をいっぱい送って「二頭筋もうちょっと欲しいです」「広背筋もっと入れてください」とお願いしました。小顔にしたのもスタイルをよく見せるためなので、トリガーはウルトラマン史上一番シュッとしてスタイルがいいと思います。
さらに、マルチタイプだけでなく、同じようなことをパワータイプやスカイタイプでもチャレンジしています。タイプの個性が出るように、パワータイプは背中から見ても筋肉が美しく見えるように工夫したり、スカイタイプはスマートに見えるようにしたりと、細かくこだわっています。小顔化や筋肉描写にも新しい造形技術が使われているので、これも今までにない試みですね。
移動母艦や変形ビークル
防衛隊のメカにも注目です
今回は、人間側のメカ「GUTSファルコン」は変形しながら活動するという試みを行っています。戦闘機の形で空を飛ぶ飛行形態のフライトモードと、脚が出てホバリングしながら戦ったり活動したりするハイパーモードというのがあるんですね。しかも、GUTSファルコンはコックピットではなくて遠隔操作で操縦するんですよ。ナースデッセイという母艦の司令室から、VRゴーグルを掛けて操縦します。
もちろん機体にはコックピットもあるんですけど、基本的な操縦はVRで離れたところからやる設定なんです。これは最近の軍事情勢から取り入れているところもあって。今の世界では遠隔操作で無人飛行機を飛ばして偵察したり攻撃したりというのが実際に行われているんですね。『トリガー』はSF要素の強い作品なので、進化した現代の技術を設定に取り入れています。戦艦に乗って活動する防衛隊は久しぶりなので、それをどううまく生かして防衛隊側の魅力を伝えるかというところにも、新しいアイデアを入れながらやっています。
こんな状況だからこそ
明るくなれる物語を
現実の世界とリンクさせてリアリティを持たせるというのは一つの手法なんですが、今回一番現実の世界を意識しているのはテーマですね。主人公のマナカ ケンゴは、みんなを笑顔にしたいというのがモットーで、口癖が「スマイル、スマイル!」なんです。それはやっぱり今、世界がこんな状況なので、この作品を見てみんながポジティブになってほしい、明るくなってほしいという願いがこもっているからなんです。みんなを笑顔にしたいマナカ ケンゴ=みんなを笑顔にしたいウルトラマントリガーという感じです。「スマイル、スマイル!」という口癖も、『トリガー』を見たみんなが真似してくれたら嬉しいなと思っています。
そんなマナカ ケンゴが抱えているテーマと作品が抱えているテーマを今の日本の子どもたちや世界の子どもたちに伝えたいし、そう思ったのは今の状況だからですね。東日本大震災のとき、ちょうど僕はある特撮番組に関わっていたんですが、それも震災後初の作品なので、みんなを明るくしたいから、明るく楽しい作風にしたんです。「宇宙キター!」って言ってみたり(笑)。作品の元々の理想として明るい主人公にしたかったというのはあったんですが、それは、今が世界的に大変な状況だから、『トリガー』を見て明るくなってほしいという思いがあったからなんです。
25年前の社会現象を
令和の時代に再現したい
今回のサブタイトルは「ニュージェネレーションティガ」。これは、25年前に『ティガ』が残した社会現象になるほどのインパクトを、令和の時代に再現したいということだと僕は認識しています。いろんな新しいチャレンジを試みたのも、今の子どもたちに25年前のような衝撃を与えたいという思いからです。
とはいえ、『トリガー』には、『ティガ』を見ていた人なら、クスッとなったり心をくすぐられたりする要素も入っています。25年前に『ティガ』を見ていたお子さんが今は大人になって、自分のお子さんがいる人も多いと思うんです。なので、「お父さんが知ってるティガはこうだったよ。でもトリガーはこうなんだよ」と親子で会話ができるような作品になれるよう、『トリガー』には、『ティガ』の要素や面白さを加えたいという思いもありました。それにプラス新しい要素も入っているので、広い世代のウルトラファンやウルトラを知らない人にも楽しめる作品になっていると思います。ぜひ見て語っていただければ嬉しいです。
ウルトラマントリガー 最新情報
『ウルトラマントリガー』
テレビ東京系にて7月10日から、毎週土曜あさ9時放送。
番組公式サイト
https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/ultraman_trigger/
作品公式サイト
https://m-78.jp/trigger/
にて最新情報を随時更新中!
テレビ東京系での放送終了後、毎週土曜あさ9時30分から、下記サイトにて期間限定で無料配信!
TSYBURAYA IMAGINATION(配信予定)
https://imagination.m-78.jp/
ネットもテレ東
https://video.tv-tokyo.co.jp/
YouTubeウルトラマン公式チャンネル
https://www.youtube.com/user/tsuburaya
「ウルトラヒーローズ EXPO 2021 サマーフェスティバル」開催!
前期と後期で異なるストーリーを展開し、『ウルトラマントリガー』や『ウルトラマンティガ』『ウルトラマン』たちが超迫力のバトルを繰り広げる「ウルトラマンバトルステージ」を毎日実施! そのほかウルトラヒーローと一緒に写真が撮れる「ウルトラショット」、ウルトラヒーローの世界に浸れる展示コーナーなども必見!
■開催期間
【前期/STAGE1】7月22日(木・祝)~8月9日(月・祝)
【後期/STAGE2】8月11日(水)~8月29日(日)
※休業8月10日(火)
※時間指定・入れ替え制
■開催場所
池袋・サンシャインシティ 文化会館4F 展示ホールB
イベント公式サイト
https://www.ultra-expo.com/summer/2021/
円谷プロダクション直営のオンラインストアがオープン!
ウルトラマンシリーズを含むさまざまな作品を制作する円谷プロならではのオリジナル企画アイテムや、ここでしか買えない限定アイテムなど、幅広いアイテムをラインナップ。オープン記念のプレゼントキャンペーンも実施中!
円谷プロ直営「TSUBURAYA STORE ONLINE」
https://store.m-78.jp/
『ウルトラマンカフェ~GO BEYOND 55th Anniversary』が期間限定オープン!
「ウルトラマン55周年」を記念して、『ウルトラマンカフェ~GO BEYOND 55th Anniversary』が期間限定でオープン。「ウルトラマン」、「ウルトラマンティガ」、「ウルトラマントリガー」や人気怪獣達をイメージしたメニューやオリジナルグッズ、特別カラーのレアなソフビ人形などが続々登場。スペシャル企画として、「ウルトラマン」&「TOKYO CULTUART by BEAMS」55thコラボレーション企画も実施し、オリジナルコラボグッズを販売します。
■開催場所
「TOKYO BOX cafe&space 東京ソラマチ店」
東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ 1階
■開催期間
2021年7月16日(金)~8月29日(日)
10:00~19:00(最終入店18:00)
※80分入れ替え制、各回開始10分前までにカフェ入口に集合。ウルトラマンカフェ公式サイトにて事前予約も可。
ウルトラマンカフェ公式サイト
https://go-beyond-55th-cafe.jp/
上記サイトにて、来店の事前予約をすると、事前予約者限定カフェ利用特典をプレゼント(予約金¥715/1人)
カフェ公式オンラインショップ
2021年8月6日(金)12:00~8月29日(日)23:59
http://go-beyond-55th-cafe.jp/online_store
取材・文/金山 靖
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