“センス”は無限大。だからこそ、果てなきゴールを求めて日頃から自分の感覚を研ぎ澄ましていたいとも思うものだ。MonoMaster3月号特集「MY ROOM STYLEセンスのある空間。」では、部屋作りの達人たちがこだわりを詰め込んだ個性が光る空間を取材。その特集内から3人目のご紹介となるのがインテリアスタイリスト/窪川勝哉さん。その窪川さんが自宅近くに持つアトリエは、1956年築となるモダニズム建築の巨匠・前川國男氏が手掛けた“白鷺住宅”。室内は窪川さん流の大きなリノベーションを施し、同年代のヴィンテージ家具を揃えることでセンスのある空間に仕上がっているのだ。
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PROFILE
インテリアスタイリスト
窪川勝哉さん
大学では心理学を学び、卒業後にバンタンデザイン研究所に入学。在学中から空間プランナー赤松珠抄子氏に師事し、インテリアスタイリストの道を歩み始める。2011年に渡英。1年半のイギリス滞在を終え、再び日本で活動を開始する。
曲線の家具を置くことで空間に動きが出る。
モダニズム建築の巨匠・前川國男氏が手掛けた“白鷺住宅”をアトリエとして使用している窪川勝哉さん。
「別荘地にもいろんな物件を見に行っていたんですけど、たまたま近所のこの家が売りに出ていたんです。自宅がすぐ近くなので頻繁に通いやすいかなって思ったのが購入した理由です」
そこからコンクリートブロック造の建物を大幅にリノベーションした。
「自宅は1956年築で、ここは57年築。どちらも天井高が低いから、天井の高い家に住んでみたかったんです。だからこの家は天井を取り払うことから始めたんですよ」
2DKだった前川建築を初代オーナーが1階に和室を増築。窪川さんはダイニングの天井を抜いて大胆な吹き抜けを造り、増築された和室部分をモダンなリビングへと改築した。
「マンションの窓は共用部なのでリノベーションでいじることができないんですけど、ここは戸建だからその辺が自由なんですよ。だから庭に向かって大開口の掃き出し窓を設置することができたんです」
その増築部分には、特徴的な青いカーペットが敷かれている。
「こんなビビッドなコバルトブルーのカーペットを敷く人ってあんまりいないと思うんですよね(笑)。でも古い家にヴィンテージ家具を入れて茶系だけでまとめるのは面白くない。僕は家電メーカーとの仕事も多いから最新家電もいっぱい持っているし、現代の生活において最新家電は絶対に必要なのは十分理解してます」
一方でレトロなインテリアに最新家電を置くと浮くことも周知の事実。また仕事柄、茶色と青は相性がいいということを知っていた。
「イタリアおやじのファッションで、ブルーデニムと茶色の革靴やレザージャケットを合わせるアズーロ・エ・マローネというスタイルがあるんです。インテリアでそれを試したことはないけど、思い切ってやってみたんです」
コバルトブルーのカーペットを敷くことでモダンさがプラスされた。その他にセンスが表れるポイントとは?
「家は直線に支配されるので、曲線でも成り立つインテリアを取り入れているようにしています」
戸建だからリノベーションが自由
前川國男氏が設計したテラスハウスにはこのリビングが存在しなかった。
本来、この吹き抜けスペースには四畳半の和室が存在していた。
中野区にこれだけ広い庭付きの家はなかなかないことも購入の動機。
ダイニングテーブルをオーバルにすることで囲んだ人は内側を向いて顔を合わせやすくなり、またテーブルを離れた際には動線も確保しやすい。
壁材を剥がすことでコンクリートブロック材が表面化。この建築の特徴でありインテリアのアクセントとなる。
2階のベッドルーム脇にはライティングデスクが備わる。
2階には部屋いっぱいの大きなベッドを設置。
撮影/山田真人 取材・文/野上真一(SIESTA PLANET)
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