近年のフェアリング付きバイクはメーカーによる方向性こそあるものの、相当個性的な顔つきとなっているが、その中でも際立っているのがヤマハ「Ténéré700 ABS(テネレ700 エービーエス)」だ。最近のフェアリングの傾向として野獣顔とでもいうのか、はたまた縄文顔と表現すればいいのか、エッジが鋭く堀が深いというのがトレンドだ。しかしヤマハのアドベンチャーモデル「Ténéré700 ABS」にいたっては、超平面顔。他メーカーに呼応して表現するなら、“平安顔”の個性的デザインとなっている。そんな「Ténéré700 ABS」がカラバリを一新した。
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知って納得の平安顔!
「Ténéré700 ABS」のスタイリングのコンセプトは「Exciting Adventure Ténéré(エキサイティングアドベンチャー テネレ)」だ。ちなみにバイク名にも、コンセプトにも挙げられている「テネレ」はアフリカ大陸にある秘境、サハラ砂漠の中南部一体のことだ。また「テネレ」はサハラ砂漠に暮らす遊牧民、トゥアレグ族の言葉で「何もない場所」と訳される。そんな砂と地平線しかない荒涼とした大地を冒険するバイクとして誕生したのが「Ténéré700 ABS」となる。
堀の深いフェアリングを擁していたのでは、砂や埃が目詰まりする。つまりアドベンチャーモデルにはフラットな超平面のフェアリングが機能的に働くのだ。しかもフラットなフロントシールド内には4灯ヘッドランプが隠されている。上側2灯がロービーム、下側2灯がハイビーム、下端部にポジションランプを配置し、それぞれの光軸が独立。メンテナンス性に優れ、しかもつるんとした平安顔でヘッドランプが汚れにくい構造となっているのだ。
高いオフロード走破性
道なき道を走るのが、アドベンチャーバイクの宿命。「Ténéré700 ABS」に搭載される水冷直列2気筒DOHC 688ccエンジンはパワフルでトルクフル。耐久性や整備性、荷物積載時の高い適応力などを備え、新たな冒険へと誘ってくれるモデルとなっている。
ホイールはフロント21インチ、リア18インチとなっていて、前後ともに軽量アルミ製リムを使用し、悪路でも快適な操作性を生み出す。高さ調整可能なフロントフェンダー、アルミ製アンダーガード、着脱可能フットレストラバーなど主要装備はすべてオフロード走行に配慮した正統派仕様。それでいてモダンラリーバイクの新しいプロポーションを提唱しているのが「Ténéré700 ABS」だ。
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この記事を書いた人
パーツデザイナー坂東 漠
スタンドがないと倒れる。ライダーの支えがないと自立できない。ライダーがいてもときにコケるといった2輪車の特性に魅了され、自転車、e-Bike、モーターサイクルの部品を開発。多くの人は気づかないが、それがないと成り立たないといったパーツを手がけている。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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