現代的にアップデートした機能・構造がすばらしい!
ただレガシーモデルを復刻しただけでなく、現代的にアップデートしているのが今作の特徴です。そんなポイントを3点ご紹介します。
ひとつは、シチズン独自のチタニウム加工技術と表面硬化技術「デュラテクト」を施した素材「スーパーチタニウム」をケースやバンドに採用していること。ステンレスに比べて40%軽く、5倍以上の表面硬度を実現した画期的素材です。
シチズンの時計をご存知の方には同じみの素材ですけども、やっぱりすごいですよ。これだけ重厚な見た目と美しく緻密な作りをしているのに、メッチャ軽いんですから。
自動巻きローターも搭載したメカニカルモデルであるにも関わらず、その重さは約108gに過ぎません。機械式ダイバーズって、比較的シンプルなモデルでも100g台後半から200g超えしてしまうものも多いので、軽さは本当に驚異的です。私はダイビングをしませんけども、潜水中は少しでも軽いほうがいいはず。プロフェッショナルな道具という視点でも、「スーパーチタニウム」がもたらすメリットは大きいんです。
次に取り上げたいアップデートポイントは、16000A/mの優れた耐磁性を備えているということ。「第2種耐磁」を備えており、磁界を発生する機器に1cmまで近づけてもほとんど問題がないんです。
“フジツボダイバー”が生まれた70~80年代と現代の大きな違いのひとつは、デジタルデバイスの存在ですよね。一般ユーザーがこれほどスマホやタブレットを使いこなすようになるなんて、当時は思いもよらなかったはずですから。機械式時計にとって針の正しい動きを狂わせる磁気は大きな問題なんですけど、優れた耐磁性を備えることでクリアしているんです。
最後はちょっと細かいですけど、バックルにアジャスト機能が備わっている点も取り上げさせてください。バンドは三ツ折れプッシュタイプなのですが、バックルには開閉とは別のプッシュボタンが備わり、バンドの長さを9段階・約0~20mmほど拡張させることができます。ウエットスーツの上から着用するときに使えるのでしょうし、普段も、この細かな調整が役立ってくれそうです。
【総評】間違いなく“ツボに入る”ダイバーズだ!
歴史に裏打ちされたモノだけが放つ、時を超えた魅力。最新テクノロジーによって実現した性能や使いやすさ。矛盾しがちなこれらの要素をうまく融合させ、味わい深く仕上げた1本でした。ここまでの出来で、20万円を切る価格設定というのも挑戦的でよいと思いました。
再び“フジツボ”で覆われることはないでしょうけども……何十年に渡って愛用したくなるという意味では、「ツボに入る」ダイバーズであることに間違いありません。
シチズンお客様時計相談室
TEL:0120-78-4807
構成/横山博之 撮影/村本祥一(BYTHEWAY) スタイリング/小林知典
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この記事を書いた人
編集長奥家慎二
2010年よりMonoMax編集部に所属し、2020年より現職。腕時計を中心に、ファッション、クルマ、アウトドア、家電、スポーツなどあらゆるジャンルを担当。モノの背景にあるストーリーや作り手のこだわりをこよなく愛する。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)には便利グッズ評論家として出演。『ZIP!』『午前0時の森』(ともに日本テレビ)にはモノのプロとして出演するなど、テレビ、雑誌、WEBなどメディアに多数出演中。
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