──PB開発で最も大事にしていることは何ですか?
髙橋「一言で言うと、紀ノ国屋の価値を下げないことです。今は駅ナカなどにも店舗があり、多種多様なお客様にご利用いただいていますが、今でも、紀ノ国屋のベースは本店の『インターナショナル(青山店)』にあると私は考えています。もちろん全国のお客様に満足してもらいたいと思って商品を作っていますが、それと並行して、『これは本店のお客様にも満足していただけるだろうか?』というのは、常に頭の中にあります。この点は、紀ノ国屋のPB開発の難しいところだと思います。
具体的にどんな商品ならどちらにも満足していただけるだろうと考えたとき、『お菓子』だとなりました。お菓子は幅広い方に愛されていて、きっと学生でも富裕層でも買うだろうと思ったのが理由です。なので、2015年からのPBは、お菓子を優先的に開発しました。その象徴が『ラー油せんべい』です。発売以来、ずっと一番人気で、紀ノ国屋のPBへの注目度が高まるターニングポイントになった商品です」
──「紀ノ国屋オリジナル」を今後どうしていきたいですか?
髙橋「紀ノ国屋のお客様が弊社に期待するものは、他社さんとは違うものだと考えています。その期待に応えながら、『次は何が発売されるのだろう?』と思わせるものを作っていきたいです。食品以外のPBも強化していきたいと考えており、まずエコバッグに注力するつもりです。水面下で大きなプロジェクトが動いているので、発表を楽しみにしていただければと思います。
食品も引き続き魅力的な商品を作っていきたいです。『紀ノ国屋オリジナル』はひとつずつきちんと作りたいので、多くは作りません。それでも、全部人気が出るというわけでもなく、馴染み深い商品が人気になることが多いです。私自身は尖ったものを作るのが好きなので、『第一印象は何これ? だけど食べたら美味しい』という商品づくりにもチャレンジしたいですね。
でも、そういう商品はなかなか人気が出にくくて、宣伝や紹介の仕方など、しっかりプロデュースしないと花開いてくれません。そういう意味で、商品開発はどこかアイドルのプロデュースに似ていると思います。情が移るくらい入れ込んで作った商品が売れなかったら、すごく落ち込みますし(笑)」
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この記事を書いた人
ライター金山 靖
文房具、家電、インテリア、雑貨などライフスタイル系グッズに精通。商品の企画開発担当者をはじめ、タレントや文化人などへのインタビュー経験も豊富。カップ麺やお菓子などグルメ全般にも造詣が深い。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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