G-SHOCKの品質基準という高いハードルにぶち当たる
シリーズの企画を担当した齊藤さんは「この光沢表現を実現するのに15年以上かかったんです」と、感慨深げに教えてくれました。
齊藤「G-SHOCKはファッションやユーザーの動向といった市場調査をもとに企画することが多いのですが、このモデルに関しては、開発者側の『どうしても製品化したい』というプロダクトアウトの観点から生まれました。G-SHOCKらしい、インパクトのあるアイデアだという確信があったからです」
タフネスが売りのG-SHOCKは、90年代からファッションアイテムとしての存在感も向上。ブラック×ゴールドのアナデジモデルやフルメタルGのような「メタリックな表現」は多くのユーザーの心を捉え、ブランドのひとつの柱にまで成長しました。
齊藤「樹脂バンドやプラスチック製ブレスレットにシルバーカラーを吹き付けてみたりと、2000年頃からメタリックなバンドを生み出せないかと模索していました。中でも手応えがあったのが薄膜を付着させるメタリック蒸着で、一度は『完成しました!』とメンバーの前で発表したこともあったんです。でも、G-SHOCKの品質基準を満たせませんでした。耐摩耗検査にかけると、蒸着面が剥げちゃったんです。樹脂の内部にインサートさせる方法も検討しましたが、狙った質感を生み出せず、コストも予想以上にかかってしまうため不採用になりました」
こちらが、その試作品。耐摩耗検査によって、エッジ部分の蒸着が剥げてしまったのがわかります。
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この記事を書いた人
ライター横山博之
カバン、時計、ファッションなど男性のライフスタイルを彩るモノを領域とするライター。デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビュー経験も豊富。時代の先端を行く技術やカルチャーにも目を向ける。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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