質感と色合いにこだわったデザイン
タフシリコーンバンドの可能性を見出した開発陣。デザインを担当した池津さんは、このバンドの仕組みを理解した瞬間「デザイン的にめちゃめちゃ進化するなって、ビビッときました」と、想い出深い“出会い”を振り返ります。
池津「タフシリコーンバンドは柔らかくて肌なじみのいいため、これまでの樹脂バンドよりも1mm厚くしました。そうすることでメタリックな見た目にふさわしい重厚感を演出でき、総合的にもハイグレードな仕上がりにできたと考えています。今作はメタルベゼルと組み合わせていますから、そことのバランスを取る意味もあります」
池津「また、G-SHOCKで使われている定番のバンドは中央が一段凹んでいるのですが、今作はミラー面をより美しく表現するため、フラットな構造にしました。バックルが付いているほうは穴もなくしてシンプル化し、メタリック蒸着の魅力を最大限味わえるようにしています。一方、オリジンの系譜も継ぐデザインにしたかったので、2つの波形状やディンプルと呼ばれる丸い窪みはそのまま残しました。蒸着の作業を考えると凹凸はないほうが楽なのですが、細部にもしっかり蒸着させていることにも高度な技術力を発揮しています。一枚の薄膜を、波形状やディンプルにしっかり追従させているのって、けっこうすごいことなんですよ」
今作を完成させるまでに、数十ものサンプルを作ったそう。時間とコストも注ぎ込むことで、満足の行くモノに仕上がったのだといいます。
池津「色合いにも苦労しました。本物のメタルを使用しているベゼルと色が合うよう、何度も試行錯誤を繰り返しました。量産スケジュールの限界まで頑張ってもらったので……設計の安田さんなんかは、いろいろ思うところがあるかもしれません」
安田「まだやるのか!?って思っていました(笑)」
齊藤「そこはもう、絶対同じ色に調整してもらわないといけませんでしたから。少しでも違うと、異質感が浮き彫りになり、一気にグレードが下がってしまいますので。いかにきれいに見せ、メタルと見間違えるところまでもっていけるのか。『メタルなのに曲がる!?』と驚かせられるレベルにできたら……と頑張ったんです」
そうした努力の末、出来上がったタフシリコーンバンド。まさに本物のメタルにしか見えないような質感に仕上がっています。
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この記事を書いた人
ライター横山博之
カバン、時計、ファッションなど男性のライフスタイルを彩るモノを領域とするライター。デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビュー経験も豊富。時代の先端を行く技術やカルチャーにも目を向ける。
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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