幅広い層のライダーに”走る”歓びを伝えてくれるモデル
一見、大柄に見えるものの、実際に跨ってみると思いのほか「大きい」という印象は薄い。さらにハンドルを握り、車体を少し左右に振ると大型バイクながらも軽やかさが感じられ、「これなら乗れそう」という気持ちに繋がる。これは誰もが楽しめる高性能なモデルの追求という面からの車体の軽量化や、低めに設定されたシート高(795mm)によるものだとも思われる。
足つき性は良好で、両かかともベッタリと地面に着地(身長172cm・体重65kg)するほど。アップライトでゆったりとしたポジションも好印象で、気負わず、安心をしてバイクライドに集中できそうだ。
エンジンをスタートさせると、ボロボロという独特なサウンドが響く。開発担当によると、通常の直列4気筒とは一味違った、周囲から注目されるような音にしたということで、確かに少しレトロな雰囲気も感じる。
当日は雨天で、コンディションとしては良いとは言えなかったが、とにかく走り出してみた。走り出しはとてもスムーズでハンドリングも軽い。
スロットルの反応も良く、徐々に開けていくとボロボロという音が変化していき、スピードアップとともに直列4気筒らしい音へと変わっていく。その変化もライダーにとっては楽しい要素となるだろう。
そして操縦感や走りも素直で、開発者が強調していた“乗りやすさ”という部分も実感できる。もちろん大排気量かつスーパースポーツ由来のエンジンなので、しっかりと回せば爽快な走りを楽しむことができる。
ただ、大排気量バイクでゆっくりと走って楽しめるモデルは少なく、このモデルは扱いやすさと独特なサウンド、そして鼓動感によってそういった速度域での走りもしっかりと楽しむことができる。雨の中でも「おっ、いいな」と笑顔になれる。ちょっとそこまでの短い移動で使ってもいいかなと思えるほどだ。
そんなところは大型バイク初心者にもフレンドリーだと感じた。
この車両が発表された後、賛否両論を呼んだデジタルのフルカラーTFTメーターも、従来のモデルの姿をイメージすると違和感を覚える人もいるかと思うが、視認性が良く、機能的で実に便利で、新たなCBのカタチと考えると、やがてこの姿にも慣れてくるように思えた。
晴れていれば、もっとスポーツ由来のエンジンの実力を確かめたかったが、スムーズな加速と高速ライドを味わい、試乗を終えた。
大型初心者やリターンライダーにとってはとてもフレンドリーであり、バイクの世界をさらに広げてくれる一台。また、ベテランライダーも納得させるポテンシャルを備えている。
大型バイクというと、その出番は週末のツーリングくらいという人も多いが、このバイクであれば、街乗りからツーリング、そしてワインディングまで幅広いシチュエーションで楽しむことができる。より良いバイクライフを味わうことができる──そんな一台といえるだろう。
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この記事を書いた人
ライター安室淳一
クルマ、バイク、自転車専門誌の編集を経てフリーランスに。現在は乗り物とそれに関連するギアやファッション、遊び方等を中心に、雑誌、WEB、カタログ、広告等で編集・執筆活動中。
Instagram:@freerider1226
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