【使って検証】バルミューダとダイソンの全方向スティッククリーナーはどっちが買い?
バルミューダの初の掃除機「BALMUDA The Cleaner」は、まるで浮いているかのような操作性で、前後左右360度、自由に動く、新しい掃除機でした。
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しかしその数カ月後に、ダイソンからも前後左右あらゆる方向に動く「Dyson Omni-glide」が登場しました。
今までの掃除機が後ろから前に押して清掃するのに対し、この両製品は押しても引いてもゴミを吸い取ります。さらに軽い動きで前後左右にヘッドが自在に動かせるので、まるでフローリングワイパーのように扱えます。
同じような全方向モデルでありながら、実際に使ってみると両者はかなり異なる特徴があります。今回はそれぞれの製品を使い比べてみて、その違いを検証します。
〈バルミューダ〉はデザインに優れ、掛け心地が気持ちいい!
まずはそれぞれの特徴を見てみましょう。先行して発売された「BALMUDA The Cleaner」は、同社初の掃除機。ホバークラフトに着想を得たというヘッド部分が浮いているかのような軽い操作感で、前後左右360度、自由に動きます。
バルミューダらしいシンプルで上品なデザインでインテリアにもなじみます。カラーはホワイトとブラックが用意されています。
サイズは、幅300mm×奥行き165mm×高さ1240mmあり、一般的なスティック型掃除機よりもかなり大きい印象です。重量に関しても約3.1kgあり、そのまま持ちあがると重さをずっしり感じます。
ところが実際に掃除をしてみると、印象が全く変わります。スタンドから外して持ち手の上にある電源スイッチを入れて、動かしてみると全く重さを感じません。するすると自由自在に動かせます。これはかなり快適で、楽しく掃除ができます。
メインスイッチは持ち手部分の上にあるスイッチ。長押しするとHIGHモードに。
重さの重心がすべて下にあるので、実際に掃除をしてみると重さを感じません。すいすいと本当にフローリングワイパーのように動きます。
この気持ちのいい動きを支えているのが、ヘッド部分の構造です。ヘッドの裏面を見ると、2つのブラシがあり、それぞれ内側に回転して床面との摩擦を軽減しています。さらに左右にある小さなキャスターが、ヘッドの動きに追従して、全方向への掃除を可能にしています。
またヘッドを支えるジョイント部分が、前後・左右・斜めと360度動くので、自由自在に動かせます。テーブルや椅子の脚の間や、ソファの下など狭い場所でも快適に思うように動かせます。
2つのブラシがどちらも内側に回転して、前後どちらに動かしてもスムーズにごみを吸い込めます。
360度動かせるジョイント部分が自在な動きを実現しています。
家具の隙間やソファーの下などもスムーズに掃除ができます。
ヘッドの四隅にある「角ローラー」はミニ四駆から着想を得たそう。
角ローラーがあることで、壁際で横に動かすといった操作もスムーズ。
長い持ち手と先端のブラシを付け替えることで、ハンディクリーナーとして使うこともできます。テーブルの上やソファ、車のシートなどの掃除に活用できます。
ハンディクリーナーとして使うときに使用するパーツ。
持ち手にスイッチがついて親指でON/OFFして使える。
ハンディクリーナーとして使うときには重さはほとんど気になりません。
ごみの集じんはサイクロン方式を採用し、ダストカップカップの取り出しも簡単。ごみに触れずに捨てられますし、ダストカップは分解して水洗いもできて衛生的。
ダストカップは本体の下の方にあり、片手で手軽に取り外せます。
ごみを捨てるときもごみに直接手を触れることはありません。
一通り使ってみての感想は、マンションのようなフローリングを中心にした部屋で使うならとても気持ちよく掃除ができます。
ただし持ち運びのときにはけっこうな重さを感じます。階段のある家で2階に持ち運んで使うのはためらわれます。その辺りは割り切りが必要でしょう。
機能ではありませんが、置いているときの佇まいを含めた、インテリアを邪魔しない美しいデザインは魅力的です。そこに購買意欲を持つ人も少なくないでしょう。
ホワイトのシンプルさはウッド系インテリアのそばに置いてもなじみます。
デザインと構造が新しいコンパクトな〈ダイソン〉
ダイソンの「Dyson Omni-glide」は、同社の従来の掃除機とは異なるフォルムの製品。持ち手もストレートの持ち手になって、スイッチもトリガー式からボタン式になっています。
今までの製品とはデザインも使い勝手も異なる新しいモデル。付属のスタンドは充電もでき、付属のパーツも一度にセットできます。
スイッチもボタン式になっています。
サイズもコンパクトで、幅208mmx奥行き132mm×高さ1077mm。同社の最軽量モデル「Dyson Micro 1.5kg」とほぼ同様のサイズ感です。重量は1.9kgで、持ち運びや操作に負担のない軽さです。
先端のブラシ部分は、2つのフラフィローラーを搭載し、それぞれが内側に回転します。ローラーの間には360度回転する4つのキャスターホイールが配置されていて、この機構によって全方向に滑るように操作できます。
ダイソン独自のフラフィローラーが2つ搭載されることで浮遊感のある軽い操作性につながっています。
実際に掃除をしてみると、前後左右どこにでもすいすいと動く操作感はとても快適です。バッテリーは持ち手のスティック部分に収納されていて、重量バランスが手元にあるため、先端部の操作がいっそう軽く感じます。
前後だけでなく左右方向にも、ほとんど力を使わずに軽くスムーズに動かせます。
持ち手のスティック部分に装備されたバッテリー。
本機は付属品も豊富で、ハンディクリーナーやふとんクリーナーとしても利用できます。
先端を付け替えることで、さまざまな用途で利用できるようになります。
ハンディクリーナーとしてサッシの隙間など細かい部分の掃除にも便利です。
ダイソン独自のサイクロン方式で搭載されているモーターは、「Dyson Hyperdymium」で、毎分最大105000回転。吸引力はこのサイズにしてはかなりパワフルです。8個のサイクロンによってごみやほこりを気流から分離します。
たまったゴミをクリアビンから捨てるときには、パイプを外す必要があります。ボタンを押してクリアビンを押し下げると、フィルター部分にこびりついたゴミもこそぎ落とします。ダイソンのこのゴミ捨ての仕組は、とても便利で使いやすいです。
コンパクトなサイズに収められた、モーターとサイクロンシステム、クリアビン。
フィルタに付着したゴミもこそぎ落としながらゴミを落とせる仕組みは便利。
本体が軽く、ヘッドも小さめなので、小回りがきいて操作性は抜群にいいです。家具と家具の狭い間や、階段の掃除などでも使いやすいのはポイントです。
ただしフラフィローラーのブラシは、カーペットや毛足の長いラグではモーターが回らず動きにくいです。カーペットで使うときはミニモーターヘッドに付け替える必要があります。
コンパクトなボディなので、吸引力は少し弱めですが、それでも他社の軽量モデルに比べるとしっかり吸い込みます。さすがダイソンという感じです。
バルミューダとダイソンはどう違う?
どちらの製品も浮遊感のある操作性がポイントになっていますが、実際に使ってみると製品としての方向性は少し異なるようです。それぞれの違いについて見てみましょう。
バルミューダのほうがスティックが長く高さがあり、ヘッドも幅広で大柄です。ダイソンのほうが短くて、ヘッドも小さいので扱いやすいことは確かです。
バルミューダ | ダイソン | |
高さ | 1240mm | 1077mm |
幅 | 300mm | 208mm |
奥行き | 165mm | 132mm |
重さ | 3.1kg | 1.9kg |
運転時間(強) | 約30分(約10分) | 約20分(約5分) |
しかし、どちらも浮遊感のある軽い操作性で小回りがききますので、実際に掃除をするときにはあまり変わりがありません。むしろ浮遊感という点ではバルミューダのほうが若干軽く感じるかもしれません。
またリビングなどの広いフローリングスペースを掃除するときには、ヘッドが幅広いバルミューダのほうが効率よくできるでしょう。
ただ小回りの点ではダイソンに軍配があがります。まず重量が1kg以上も軽いので、持ち運びも楽で、階段の掃除などにも向いています。またヘッド部分が水平になるまで曲がるので、家具の下などの掃除にも強さを発揮します。
水平まで倒せるので家具の下などの清掃もしやすいです。
バルミューダは水平まで倒すと先端が浮いてしまいます。
ダイソンなら10cmあれば家具の下に入って掃除ができます。
バルミューダは10cm程度の隙間ではジョイント部分が引っかかってしまいます。
吸い込みの様子については、どちらかといえばダイソンのほうが強力で、取り残しは少ない印象です。バルミューダは吸込口が2つあって、ゴミがローラーの真ん中に入ると取り残してしまいます。ダイソンは吸込口が中央にひとつなので、ローラーの間に取り残すことはありません。ただしダイソンは壁際など端の部分を取り残すこともありました。どっちにしてもくるくるとヘッドを動かしてもう一度動かせばきれいに取りきれます。
■バルミューダの動作を動画でチェック
■ダイソンの動作を動画でチェック
結局、どういう人にどっちがおすすめ?
同じような全方向スティッククリーナーですが、サイズも使い勝手もかなり違うことがわかりました。
■バルミューダ「BALMUDA The Cleaner」
マンションなどで2階などに持ち運びをしない環境で、広いスペースを効率よく清掃したい人。部屋に置いたときに主張せずにインテリアに溶け込むアイテムがほしい人。
■ダイソン「Dyson Omni-glide」
フローリング中心の家で。持ち運び性能や軽さも重視したい人。広いスペースを一気に、というよりこまめにさっと掃除したい、吸塵性能にもこだわりたい人。
という感じでしょうか。自分にフィットするモデルを選択してみてください。
文・写真/栗山琢宏
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