美しさはまるで建築物! 新世代土鍋が実は万能調理器具だった!
一見すると鋳物ホーロー鍋にも見えるこちらの鍋、実は土鍋なんです。
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KYOTOH「DONABE」は、1300年の歴史を持つ「美濃焼き」の岐阜県多治見市で70年以上の業歴を持つメーカー京陶窯業株式会社による製品です。
なめらかな表面の質感に立体的な構造は、まるで建築物のような美しいフォルム。世界3大デザイン賞の「iF DESIGN AWARD」を2021年に受賞しています。それもそのはず、本製品のデザインは、世界の権威あるデザイン賞を17も受賞し、iF DESIGN AWARDが選ぶ「世界のトップ25デザイン社」に選定されたカロッツェリア・カワイ社による最新作なのです。
土鍋というと冬の鍋料理に使う調理道具というイメージを持つかもしれませんが、この製品はさまざまな調理に対応している万能調理道具なんです。今回は実際にさまざまな調理で使ってみて、その実力をチェックします。
土鍋の持つ機能性と構造による使い勝手のよさが両立
印象的なデザインの特徴でもある、持ち手の構造は、ふたが4点どめで、本体左右の持ち手は3点どめになっています。これはデザインのためだけではなく、ミトンをしたままでもしっかり持てる安全性も考慮されているものです。
また本体とふたの接合部分の加工も精密で、土鍋としては高い密閉性を実現しています。こうした持ち手の構造や高い密閉性は、陶磁器製品としては非常に難しい製造技術ですが、京陶窯業株式会社の長年のノウハウと高い技術力が存分に活かされています。
美しいフォルムはワンモーションスタイリング(塊のような一体感)を強く意図してデザインされています
本体の持ち手部分はミトンを使ってもしっかり持てるので、安心感が高いです。
ふたの裏側の加工も精密で高い密閉性を実現。また中央部分にある突起は、調理中の水蒸気を再度食材に降り注ぎ、旨みを還流する効果もあります。
DONABEには2つのサイズがあります。カラーはそれぞれホワイト、ピンク、ブラックが用意されています。DONABE 205(1.7L)でごはん3合分、DONABE 270(2.6L)で5合が目安です。価格は、DONABE 270は19800円、DONABE 205は14300円です。
本来、土鍋は熱伝導性が低いため、食材にじっくり熱を伝える特性があります。そして温度が上がると蓄熱効果が高く、弱火や余熱での調理もできます。
さらに土鍋には金属製の鍋に比べて、遠赤外線効果が高いという特徴もあります。ガスによる下からの熱だけでなく、側面、ふたの部分も含めた全体からまんべんなく加熱されます。
こうした土鍋の特性から、米や野菜は中からふっくら、肉や魚はしっとりジューシーに仕上がります。
とくにこのDONABEは、密閉性も高いことから、無水調理にも対応しています。この製品できる調理方法は「炊く」「煮る」「オーブン調理」「蒸す」「無水調理」などが可能です。それぞれ実際に調理してみて実力を試します。
【炊く】ごはんがふっくら格別のおいしさ
土鍋といえば、やはり炊飯です。今回は、とうもろこしごはんを炊いてみました。
とうもろこしは生のまま、芯から粒を外します。包丁で実をこそげると簡単です。といだお米(2合)に水、塩を入れて、そのうえにとうもろこしの実と芯も入れて炊きます。
炊きあがったとうもろこしごはんは、とうもろこしの甘みに、少し塩味のきいたふっくら炊きあがったごはんが絶品でした。
土鍋で炊飯というと火加減が難しそうという印象を持つ人もいますが、実は火加減はとくに気にしなくても大丈夫です。素材が分厚く蓄熱性が高いので、中強火で加熱してそのままにしておけば十分です。
炊きあがりは2合なら11分くらい、3合なら13分くらいです。目安としては鍋から勢いよく湯気がでてきたら約1分くらいで火を止めます。あとは15分程度蒸らせばOKです。思ったより全然簡単にできます。
土鍋で炊くごはんの味は格別で、ワンランク上の米を使ったかのように感じます。
【煮る】食材の旨みと甘みが引き出されたポトフ
次はポトフを作ってみます。こうした煮る調理は土鍋の真骨頂です。やさしい加熱で食材の旨みがしっかり引き出されて、おいしく仕上がります。
まず油でベーコンを炒めて、ベーコンの旨みをしっかり引き出しました。
野菜類を投入し、水と顆粒コンソメを入れて煮込みます。
ふたをして加熱し沸騰したら、弱火にしてじっくり加熱します。10分程度加熱したら、火を止めて余熱調理でも十分です。
最後に塩・コショウで調味したらできあがりです。野菜がほっこり、甘みも旨みも引き出されてとても美味でした。
もう一点、魚を使ってアクアパッツァも作ってみました。
はじめにニンニクとオリーブオイルを入れて、にんにくの香りを引き出してから、鯛を入れて焼き目を付けます。両面こんがり焼き目を付けたら、水とアサリ、トマトを加えて加熱。
強めの火力で、煮汁を全体に回しかけ続けます。アサリの口が開いたら、オリーブオイルをたっぷり回しかけて、さらに加熱し煮汁を回しかけて、油と水が乳化したら火を止めて完成です。
あとは鍋ごとそのままテーブルに持っていけば、高い蓄熱性能で温度もキープできます。魚の身がふっくらした、おいしいアクアパッツァができあがりました。
【オーブン調理】ジューシーでやわらかいローストポーク
DONABEはオーブン調理にも対応しており、今回はかたまり肉でローストポークを作ってみました。土鍋の持つ遠赤外線効果によって、食材の芯までじんわり火を通すことができます。
今回ははじめにフライパンで豚のかたまり肉をまんべんなく焼き付けています。フライパンを使っているのは、焼いたときにできる焦げ目などについた旨みをソースに使いたかったからです。
DONABEに切った玉ねぎとじゃがいもを入れて、その上に焼き目をつけたかたまり肉、香り付けのハーブを置きます。
ふたをして200度で予熱したオーブンに入れて60分焼きます。
できあがったローストポークは粗熱がとれるまで放置したあとにカットします。
DONABEに入れてオーブン調理すると、かたまり肉もしっとり芯からやわらかくジューシーに仕上がります。一緒に加熱したじゃがいもや玉ねぎも、肉の旨みを吸い込んでおいしくなっています。
【蒸す】野菜本来のおいしさを楽しめる蒸し野菜
DONABEを使って野菜を蒸すと、茹でるよりも栄養素が保たれ、野菜本来のおいしさを感じられます。
鍋底に割り箸を置いてその上に皿を載せることで蒸し器のかわりにします。
クッキングシートを広げた上に食材を入れます。野菜を上下に重ねるよりも、縦に入れた方が熱が均一に伝わります。
使用する食材にもよりますが、今回は15分くらい蒸してみました。まずは一度塩で味見してみると、野菜本来の旨みや甘みを感じ取れます。
蒸し料理は、野菜に限らず、肉や魚などでも、食材がもつ本来のおいしさをシンプルに楽しめます
【無水調理】豚肉とキャベツの二段無水煮
密閉率の高いDONABEは無水調理も可能です。水を使わずに食材から出た水分で調理するので、素材の味が薄まらずに本来の旨みを凝縮したおいしさを楽しめます。
千切りにしたキャベツを鍋に敷き詰めます。半分の高さになったら、豚の薄切り肉を表面に敷き詰め、さらにキャベツを入れます。
鍋の上部までキャベツを入れたら、また肉を敷き詰めます。ふたをしたら弱火で加熱します。あとは鍋にまかせて15分程度加熱するだけです。
ふたを開けると約半分程度にまでかさが減りました。
そのままテーブルに持っていって、ポン酢をつけて食べます。豚肉とキャベツの甘さと旨みがぎゅっとつまっています。
土鍋ならではの使い方と手入れをチェック!
さまざまな調理で便利に使えるDONABEですが、金属ではありませんから、落としたりすれば割れてしまいます。またほかにも使い方に注意すべき点があります。
使い始めには目止めをする
はじめて使うときには、土の細かな穴をでんぷんでふさぐ、目止めを行います。ひび割れや水漏れを防ぎ、食材の匂い移りも防止します。
DONABEの8分目まで水を入れ、片栗粉(小麦粉)を大さじ2杯程度入れ弱火にかけます。さらに20分程度沸騰させたら、冷めるまで放置します。最後に水洗いをして、完全に乾かします。
注意すべき使用方法
DONABEは土でできていますから、急激な熱の変化には弱く、割れたりひび割れする危険もあります。「熱い土鍋を急激に冷やさない」「濡れたままの土鍋を火にかけない」といった注意は必ずまもります。
さらに匂い移りを防ぐために、食材を長時間入れたままにしないようにします。
もし焦がしてしまったら、鍋に水を入れて沸騰させてから放置すれば、焦げが浮き上がって簡単にとれます。
とにかく多用途なうえにおいしくできる
ここまでご紹介してきたように、DONABEはいろいろな調理方法で使えるうえに、どの調理方法でもおいしく仕上がります。手の込んだ料理もできますが、素材本来のおいしさを生かせる料理がとくにおいしく感じられます。
土鍋の伝統的な機能性と、新世代のデザインがマッチしたKYOTOHの「DONABE」は、調理器具としてかなり優秀な製品でした。
◎KYOTOH (キョートー)
取材・文・写真 栗山琢宏
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