フェムテックの盛り上がりによって、メンテック・オムテックという男性の健康問題に着目する言葉も生まれた。なかでも注目が高まっているのが、男性更年期だ。
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社会の変化によって男性更年期問題が表面化
柏瀬宏隆・岩本晃明「男の更年期」日東書院2006
女性の健康問題を解決するフェムテックが浸透しつつあるなかで、男性の健康問題も注目されるようになった。そのひとつが男性更年期。この分野の専門家である獨協医科大学埼玉医療センター教授の井手久満先生に話を聞いた。
「男性更年期障害(男性更年期とも)は、医学的にはLOH症候群(加齢性腺機能低下症)と定義されています。筋力や性機能の低下など実に多彩な身体的症状が見られます。また、精神的にも不安や集中力の低下などの症状が出やすいです。LOH症候群の原因はテストステロンの減少ですが、テストステロンは20代からゆるやかに低下していきます。そのため、閉経前後10年間で発症する女性更年期とは異なり、男性更年期は必ずしも年齢だけでは線引きできません」
男性更年期が注目されるようになったのは、様々な理由があるそう。
「社会の高齢化が進み、テストステロンの低下によるいろいろな愁訴が出現してきたのが要因のひとつ。晩婚化や子どもができない少子化問題によって、女性だけでなく男性の健康がクローズアップされ始めたことも一因と考えられます。フェムテックには社会的損失を減らすという一面がありますが、それには女性の健康問題を解決するだけでは不十分だということに社会が気づいたのも理由でしょう。プレゼンティーズムという社会の生産性を低下させる疾病が数年前から問題視されているのですが、男性のプレゼンティーズムは男性更年期が原因の可能性があるとわかってきたのです」
男性更年期を知る3つのポイント
1.原因→加齢に伴うテストステロンの減少
骨や筋肉をつくるなどの働きをする男性ホルモンのひとつ、テストステロンの減少に加え、環境やストレスなどの要因が重なって起こる。
2.症状→肉体的にも精神的にも様々
肉体的には、筋力低下、疲労感、ほてり、性機能低下、頻尿など。精神的にはイライラや不安、集中力の低下などの症状が出やすい。
3.年齢→早ければ35歳ごろから出現
早ければ30代後半から出現し、40代後半から増える。この年代は社会的・経済的にストレスが多くなることが要因という説もある。
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