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俳優・角野卓造が惚れた岡山&倉敷”街の味、人の味”Vol.3「食堂 やまと」

俳優・角野卓造が惚れた岡山&倉敷”街の味、人の味”Vol.3「食堂 やまと」

MonoMaster9月号の特集「夏こそ食旅」では、俳優の角野卓造さんがプライベートで通う岡山グルメをご紹介。モノマスターWEB版でも全6回にわたって、角野さんが訪ねた名店を紹介いたします!

前回の記事はこちら

「食堂 やまと」のカツ丼と中華そば

俳優・角野卓造が惚れた岡山&倉敷”街の味、人の味”Vol.3「食堂 やまと」

「ごはん茶碗よりちょっと大きいかな? ぐらいのサイズ感が、もう一品いきたい僕にはたまりません」という、カツ丼の小520円(税込)。岡山で「カツ丼」といえばデミカツ丼、 一般的なカツ丼を「卵とじカツ丼」と表記する。

俳優・角野卓造さんは「郷に入っては郷に従え」の如く、岡山特有の食文化を堪能する。角野さんが若い頃から芝居で岡山に来ると訪れていたという「食堂 やまと」では、デミグラスソースがかかった岡山名物・デミカツ丼と中華そばがセットで味わえる。しかも小ぶりサイズだから、バランスよく楽しめるのも、角野さんが「食堂 やまと」を選ぶ理由の1つ。「男にとっちゃあベストな組み合わせですな」と、角野さんの舌を唸らせる「食堂 やまと」の“最強コンビ”の魅力に迫る。

俳優・角野卓造が惚れた岡山&倉敷”街の味、人の味”Vol.3「食堂 やまと」

食堂の席に着くなり、角野さんは迷うことなく注文を通した。「小・小をお願いします!」
それは口福の呪文か何かでしょうか・・・・・・。「大丈夫。“小・小”の符丁でオーダーが通りますから」となだめられ、しばし待つと現れたのは、デミグラスソースのかかったカツ丼と中華そば、それぞれの小サイズだった。

岡山のご当地めしといえばデミカツ丼であり、蕎麦屋に卵とじのカツ丼があるように岡山では、中華食堂やラー
メン屋にこのカツ丼は極自然に存在する。デミカツ丼とラーメンを一緒に食べるのも、岡山特有の食文化だ。
「男にとっちゃあベストな組み合わせですな。こちら『食堂 やまと』さんは、カツ丼も中華そばも小ぶりサイズを用
意してくれてる。この歳でも、両方いける嬉しさったらないよ!」

“君たちは美味なるブラザー、最強コンビが岡山にいた”

俳優・角野卓造が惚れた岡山&倉敷”街の味、人の味”Vol.3「食堂 やまと」

鰹の香りがふわり立つ、中華そばの小520円(税込)。「洋食もあるこちらには小皿のコロッケもあって、コロッケで赤ワインを飲んだ後、中華そばで〆たこともあったなぁ」。ほかシチューやオムレツなども。「洋食と中華を組み合わせて遊べるのが、楽しいでしょう?」。

 されど意外なカップリング。食べ合わせはどうなのだろう? そうお思いでしょう。中華そばのスープは昆布や
鰹節などで取った和出汁に豚骨出汁を合わせて作っているのだが、実はその命のスープをデミグラスソースのベースに活用しているのだ。いうなればデミカツ丼と中華そばは血を分けた・・・・・・
いや、出汁を分けた兄弟なのである。「デミグラスもラーメンスープも、洋食や中華の文脈とは違う和を感じる。
だから2つ同時に食べても全然重くない。ジャンルで分けるとそれぞれ洋食とか中華になるんだろうけど、やっぱ
り正しくは、日本で生まれた“和食”である、ということなんだろうなぁ」

俳優・角野卓造が惚れた岡山&倉敷”街の味、人の味”Vol.3「食堂 やまと」

「若い時分から岡山に芝居で来ると、お昼ごはんはよくこちらにお邪魔して。ホールが近いから、岡山で芝居打つ演劇人はみんな来てるんじゃないかな? 店前の大行列にびっくりするけど、回転は早いからご安心を」。写真が二代目、角野さんと同じ昭和23年生まれ。

洋食屋として昭和23年に創業したときから、中華そばはレギュラーメニューにあった。二代目・大和信一さんは、洋食のコックだった初代(父上)が徴兵制により満州に渡り、そこで中華料理を学んだのではないかと考える。そして戦後の物資不足でも入手しやすかっただろう昆布や鰹節で、日本ならではのスープを完成させた。かくして和洋中がクロスオーバーする岡山の食堂にて、美味に舌鼓を打ちながらニッポン風土(フード)記をめくる角野さんだった。

〈問い合わせ〉

食堂 やまと(しょくどう やまと)

住所:岡山県岡山市北区表町1-9-7 オランダ通り

Tel:086-232-3944

営業時間:11:00~19:00(15:00~16:00は
麺類のみの提供)、火曜休み

 

文/廣田彩香 撮影/本野克佳

※料理の価格は2019年7月25日現在のものです。

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