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開発者に聞いた! 八角ベゼルのG-SHOCK「2100」新作をメタルカバードにした本当の理由!

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」イメージカット

2019年に登場して以来、新しいG-SHOCKのアイコンとして絶大な支持を集めているGA-2100。初代G-SHOCK「DW-5000」のDNAを引き継いだスリム&コンパクトなデジタルアナログコンビモデルとして、かつてのブームを知らないミレニアム世代のファーストG-SHOCKとしても人気のモデルです。

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そして2021年8月には、その八角形フォルムをメタルで覆った新作「GM-2100」が登場! 早くも各地で欠品が相次ぐほどの大人気で、G-SHOCK全モデルの中でもトップクラスの人気を獲得しています。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100-1AJF」イメージカット

開発にあたってどのような点に注力したのか? デザインのポイントは?

企画担当の泉潤一さんと、デザインを担当した澤村世名さんに開発秘話を伺いました!

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100-1AJF」を手掛けたカシオ計算機 技術本部デザイン開発統轄部 澤村世名さんとカシオ計算機 時計事業部企画統轄部商品企画部第一企画室 泉潤一さん

左)カシオ計算機 技術本部デザイン開発統轄部 澤村世名さん 右)カシオ計算機 技術本部開発推進統轄部 泉潤一さん

絶妙なアレンジで上質感をさらに高めたメタルベゼル!

やはり気になるのは、メタルベゼル。側面の凹凸など、樹脂ケースに見られたディテールをメタルでも忠実に表現しています。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」メタルベゼル

澤村「タフネスを感じさせる八角ベゼルに対して円周ヘアラインを施すことで、メタルらしい質感の高いデザインにまとめました」

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」ヘアライン仕上げのメタルベゼル

精巧な作りで八角形フォルムを構成しつつ、実は「ただ素材を置き換えました」というだけではないのもポイント。最初のアプローチとして樹脂と同じ形のメタルベゼルを試作してみたものの、より洗練させるための工夫が必要と感じたのだそうです。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」メタルベゼルの試作品と完成品

左が完成品。右がGA-2100のフォルムに忠実に成形したプロトタイプ。

澤村「注目したのはカン足のところ。樹脂のときはややふっくらとしてハリ感のある面形状ですが、そのままの形でメタルにしたところ歪みにも見えかねないと感じました。そこでシャープで精度感のある面質になるよう調整を重ね、上質な雰囲気に仕上げることができたんです」

いわれないと気づかないような調整カ所ですが、細部の違いが印象を大きく変えるのが時計というジャンル。モノづくりに寄せるG-SHOCKの熱意をうかがわせるエピソードです。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」こだわりのポイント

プロトタイプ(写真上)に比べ、最終完成版(写真下)はカン足部分のふくらみがなくなりシャープな印象に。

文字盤も樹脂バンドも“初モノ”ばかりのこだわりデザイン!

メタルカバードシリーズ初のヘアライン仕上げを採用したメタリック文字盤

こだわりはメタルベゼルだけでなく、文字盤にも及んでいます。

澤村「文字盤の金属表現にもこだわり、より上質感を出せるよう意識しました。これまでのメタルカバードシリーズにも文字盤をメタリックに仕上げたモデルはあるのですが、どれもミラー仕上げの蒸着でした。今回は全体に縦目のヘアラインを入れたり時字に縞を加えたりと、より金属感を高める仕様にしています」

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」メタリックな文字盤

澤村「一体パーツで薄さを保ちながら、成形樹脂にここまで微細な意匠を施すのは本当に大変で、日本の金型と蒸着技術の結晶だと思っています。なかなか真似できないレベルの技術ですよ」

GA-2100はあえてマット仕上げによるシンプルさが特徴でしたが、今作ではメタルの魅力を文字盤でも表現。ものすごく細かいところにまで意匠が加えられているのに驚かされます。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」メタリックな文字盤

グラデーション状に凹凸を表現した樹脂バンド

また、バンドにもオリジナルデザインを起用しています。

澤村「GM-5600シリーズに使われているシンプルなデザインをベースにしながら、表面に細かい格子のテクスチャ―を入れて質感や先進的なイメージをプラスしました。先端にいくにつれて、徐々に凸部が小さくなっていくデザインです」

泉「表面の凹凸でグラデーションを表現したのは、私がG-SHOCKを担当してからこれが初めてなんです」

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」樹脂バンド

微小な突起で耐衝撃性を底上げしたグラスファイバー強化樹脂性ケース

さらには、G-SHOCKの優れた耐衝撃性を実現するため、内部構造にも工夫が。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」内部構造

泉「GA-2100ではケース素材にカーボンファイバー強化樹脂を使うことで、スリムながらG-SHOCKらしい耐衝撃性を実現しました。今回は外装にメタルをまとうため、弾性が高くて金属との相性がいいグラスファイバー強化樹脂にしたんです。さらに工夫したのが、ごく小さな突起を設けてメタルとの接触を点にしたこと。G-SHOCKの基本技術であるモジュール中空構造と同類で、素材の接触部分にわざと空間をもたせることで衝撃による影響を抑制しているんです」

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100」ケース

どれも欲しくなる!魅力的な全4色

カラーはここまで写真でお見せしてきたシルバーカラーが基調の「GM-2100-1AJF」を含め、全4色の展開。これがまた、どのカラーも魅力なんです。

泉「G-SHOCKというと“ストリート”でゴツゴツしたフォルムというイメージもあるかと思いますが、よりカジュアルでアナログ志向のユーザーにも着けていただけるよう企画段階から訴求していきました。それがカラーバリエーションにも反映されています」

澤村「シルバーの『GM-2100-1AJF』は定番で、どんなスタイリングにも合わせていただけるような雰囲気があり、他のカラーはアクセサリーのように遊び心を持って着けていただけるものになっています」

ブルーグレーIP採用の「GM-2100N-2AJF」

そうした意向の象徴ともいえるのが、「GM-2100N-2AJF」。ベゼルも文字盤もバンドも、モダンなブルーグレーで表現されています。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100N-2AJF」イメージカット

澤村「メタルカバードシリーズでは新採用のブルーグレーIPを使っています。色合いが深めで大人しい印象なんですが、白シャツ×デニムといった格好にすんなり合わせられるんですよ。さわやかな印象もありますし」

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100N-2AJF」に採用されたブルーグレーIP

液晶までレッドに染めた「GM-2100B-4AJF」

全体をブラックでまとめつつ、文字盤はブランドカラーのレッドで表現したのが「GM-2100B-4AJF」です。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100B-4AJF」イメージカット

澤村「見切りまでメタリック塗装を施しているのも、色付きの反転液晶を使ったのも、このモデルだけ。メタルベゼルは真っ黒よりややトーンを落としたダークグレーにすることで、鮮烈な赤を強調させています。ファッションのワンポイントに入れたくなるようなカラーです」

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100B-4AJF」にはレッド液晶を採用

G-SHOCKで珍しいメタリックグリーン文字盤の「GM-2100B-3AJF」

最後のひとつは腕時計のひとつのトレンドにもなっているグリーン文字盤の「GM-2100B-3AJF」。

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100B-3AJF」イメージカット

澤村「こちらの文字盤も新色です。滅多に採用しないメタリックなグリーンに挑戦しました。やや黄味よりのグリーンにすることで、カーゴパンツのようなミリタリーテイストやアースカラーのファッションとの親和性を高めつつ、シンプルなのでいろいろな装いにも合わせられます」

カシオG-SHOCK“カシオーク”新作メタルカバード「GM-2100B-3AJF」ではメタリックなグリーン文字盤を採用

これほどに新カラーが多いのは、GM-2100にかける意気込みの強さゆえ。

泉「ただ新色を表現できても、G-SHOCKとしてのタフさも備えていることを証明しなくてはなりません。落下衝撃や温度変化、摩耗といった試験をクリアしなければならず、これが難しいんです。『いい色合いを表現できた!』と思っても試験でNGになることが多くて」

澤村「デザインして終わり、となることはほとんどなし。量産にあたっての調整がたくさんあるんです。サンプルが届いたとき、想像通りに仕上がったかいつもドキドキしています」

泉「『やっぱりダメだった』とか、『このときはうまくいったけど量産は無理です』とか。あるあるですね(笑)」

2100シリーズは次世代のマスターピースに!

2100シリーズは絶大な人気を背景に、多彩なカラバリやミッドサイズモデルなど続々とラインナップを拡充してきました。

泉「そもそもGA-2100は、35周年という節目を経て“継承と進化”をテーマに開発したモデルです。初号機DW-5000Cや初代アナデジAW-500にあったフィロソフィーを引き継ぎ、とにかく無駄を省いて現代的解釈に落とし込んだ末に、八角形フォルムが生まれました」

使用しているモジュール「5611」もほぼ2100専用で、通常は2段式に各種回路を組み込むところ、部品の小型化と省エネ化を活かした高密度実装技術によって1段に集約。G-SHOCK史上最薄のアナログコンビモジュールを実現できたことで、2100のスマートな造形を生み出しました。

泉「メタルカバードシリーズは、このGM-2100で4作目。1作目の5600も2作目の6900もG-SHOCKの最初期モデルですし、3作目の110も2010年の発売以来ロングセラーを記録したモデルで、ある意味どれもオリジン的存在でした。この2100はデビューから間もないモデルですけども、国内はもちろんグローバルでも非常に好調な売れ行きを見せており、次世代のマスターピースに育てていきたいという想いから4作目に選びました。また、お客様の声に耳を傾けますと、2100は薄さやスタイリッシュさが受けていることがわかり、メタルカバードで質感を高めればさらにお客様にご満足いただけると考えたんです」

これまでのメタルカバードシリーズ。写真左から、「 GM-110-1AJF」「GM-6900-1JF」「GM-5600-1JF」

これまでのメタルカバードシリーズ。写真左から、「 GM-110-1AJF」「GM-6900-1JF」「GM-5600-1JF」

泉「一連のメタルカバードシリーズも、たぶんここで一段落。この“マスターピース4兄弟”をコアに、今後はCMF(カラー、マテリアル、フィニッシュ)をうまく駆使した新作を開発していくことになると思います」

ただでさえ人気の2100が、今回のメタルカバードによって存在感がいっそう際立つことになりました。2021年9月現在は品薄が続いていますが生産は継続されていますので、ショップをこまめにチェックし、チャンスを待ちましょう。

「GM-2100-1AJF」¥26,400、「GM-2100N-2AJF」「GM-2100B-3AJF」「GM-2100B-4AJF」各¥28,600(税込)
ケースサイズ(縦×横×厚さ):49.3 × 44.4 × 11.8 mm
質量:72g
ケース・ベゼル材質:樹脂/ステンレススチール
バンド:樹脂バンド
ガラス:無機ガラス
構造:耐衝撃構造(ショックレジスト)
防水性:20気圧防水
電池寿命:約3年

カシオ計算機 お客様相談室
03-5334-4869
https://gshock.casio.com/jp/

取材・文・撮影/横山博之

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