2023年はコロナ禍終息の兆しが見え、行動制限が緩和。それに伴い、さまざまなアイテムがヒットしました。今回は、そんな2023年上期に世間を賑わせたニュースを振り返りながら、それに関連するヒット作について分析!これを読めばヒットの理由も頷けるはず。
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【2023上期】「トレンドに詳しいプロと振り返る!」ヒットの法則は、新たな体験を求めた “新・手ざわり感”
2023年も世間を賑わせるニュースが多数登場し、ニュースきっかけのヒットアイテムも誕生した。ならば、世間を賑わせたニュースは、世の中の人のどんな心理や行動から生まれたのかを探れば、ヒットの法則が導き出せるかも。そう思い、博報堂生活総合研究所の上席研究員、佐香 孝さんに2023年のニュースについて話を聞いた。
博報堂 博報堂生活総合研究所 上席研究員 佐香 孝さん
マーケティングプランナーなどを経て現職。生活者の思考を研究しつつ人工知能などにも目を向ける。
みんなが盛り上がる対象としてWBCがうまくハマった
──WBCはどう感じましたか?
佐香「WBCが盛り上がったのは、日本が優勝したことと、試合自体、選手采配や活躍など含めて非常に面白かったことが前提にはあると思います。生活者目線では、今の世の中は好みが多様化して、生活者一人ひとりの好みはバラバラでいいのだという風になっています。しかし、心の中では、みんなで共鳴や共感できる対象を探していたのではないでしょうか。その対象のひとつがWBCだったのだと思います。
大谷選手については、まるで漫画のスーパーヒーローのような存在が日本の生活者に勇気を与えたのではないかと思います。ヌートバー選手の人気は、先程申し上げた多様化が影響しているように思います。最近、海外にルーツを持つ日本人が世界で活躍し、昔ながらの『日本人はこういう人種』という固定的な考えから変化しているように思います。その影響で、アメリカ人であっても日本ルーツを持ち日本のため頑張ってくれる人なら応援しようと思えたのではないでしょうか。もちろん、ヌートバー選手の人気はご本人も大きいと思います。プレーも全力かつ献身的でしたし、お母さんへの愛情も日本人好みだったと思います。」
5類移行後も家計はひっ迫メリハリ消費が強まった
──コロナの5類移行による行動制限の緩和は外せないニュースです。
佐香「『リアル回帰』を求める動きは以前から大きかったですが、実際に行動する人は多くないという感じでした。それが5類移行で行動緩和が広がり、やはり旅行やイベントへの気持ちは高まりましたね。弊社の調査では、2023年の夏は『国内旅行や夏祭り、花火大会ができてよかった』『新鮮な気持ちで楽しめた』という声が多かったです。ただ元通りに戻すのではなく、何か『新しい手ざわり』というか、新鮮な感触を得たいという人が多かったのではないでしょうか。
また、6月の電気料金の値上げや物価高によって、家計はかなり苦しめられています。普段、気楽に消費できない分、旅行やお祭り、レジャーなどハレの日には、気構えずに使おうと考える人が多いようです。消費のメリハリがものすごく大きくなってきている感じはありますね。」
MonoMax的 2023年のハイライト!【上半期編】
【1月】
●新型コロナウイルスの感染症法上の分類をインフルエンザと同じ「5類」に引き下げることが決定。5月8日から実施。
【3月】
●「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)第5回大会の決勝で、日本代表が3度目の優勝。大谷翔平選手が大会MVPに選出される。⇒詳しく!①
【4月】
●改正道路交通法により、すべての自転車利用者にヘルメット着用の努力義務が課される。⇒詳しく!②
●ファッション界の大手オンライン検索エンジンである英国の「Lyst」が、2023年第1期(1月〜3月)で最もホットなファッションブランドとアイテムを発表。ユニクロの「ラウンドミニショルダーバッグ」が1位に。⇒詳しく!③
【5月】
●新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけがインフルエンザと同じ「5類」に移行。行動制限が緩和される。⇒詳しく!④
【6月】
●東京電力ホールディングスをはじめとする大手電力会社7社が電気料金(規制料金)の値上げに踏み切る。⇒詳しく!⑤
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この記事を書いた人
ライター金山 靖
文房具、家電、インテリア、雑貨などライフスタイル系グッズに精通。商品の企画開発担当者をはじめ、タレントや文化人などへのインタビュー経験も豊富。カップ麺やお菓子などグルメ全般にも造詣が深い。
Twitter:@kuunelu5963
Website:https://monomax.jp/
お問い合わせ:monomaxofficial@takarajimasha.co.jp
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