大相撲の夏の名物!「浴衣のお中元」の知られざる文化

阿武剋関の浴衣反物。反物には「粗布(そふ)」という熨斗(のし)がつけられている。
幕内力士の反物には「粗布(そふ)」という熨斗(のし)がつけられ、五月場所や七月場所の支度部屋で、「お中元」として親しい方々へ配られます。
贈る相手は本当にさまざまで、同じ部屋の仲間や一門の関取、お世話になっている親方はもちろん、同じ学校の出身だったり仲の良い力士だったり。相撲関係者だけでなく、親交のある一般のファンにプレゼントされることもありますし、部屋の反物が後援会員の方への特典になっていることもあります。
力士にとってオリジナルの浴衣反物を贈ることは、単なる季節の挨拶の枠を超え、「一人前に出世しました」という報告であり、恩返しでもあります。そのため、入幕して自分の反物を作るのをとても楽しみにしている力士はたくさんいます。ただ、制作にはそれなりに手間と費用がかかるため、実は「今年は作らずにおこう」と見送る力士もいたりと、それぞれの事情があるそう。
費用をおさえる工夫も? 反物の染め方にもあるそれぞれの事情
反物の染め方にもいろいろな背景があり、かつて一般的だったのは「本染め(注染)」。これは生地の裏側まできれいに染まる職人技ですが、そのぶん手間もコストもかかります。裏側が白いままの「プリント(捺染)」で作るとコストをおさえられることも。また、使う色数をシンプルにすることで、費用を賢くおさえる工夫をする力士もいるのだそう。
こうして配られた反物は、素敵な浴衣に仕立てられて、いよいよ七月場所でお披露目されます。反物の状態のときも素晴らしい逸品ですが、鍛え上げられた力士のみなさんが身に纏うと、一気に立体感と大迫力が生まれて本当に美しいものです。日本の夏を感じさせる小粋な浴衣姿、ぜひ注目してみてくださいね。
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